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ティファニーで朝食を (新潮文庫)

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

トルーマン カポーティ

この本の所有者

29人が登録
311回参照
2015年8月15日に更新

書籍情報

ページ数:
282ページ
参照数:
311回
登録日:
2015/08/02
更新日:
2015/08/15

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内容紹介

第二次大戦下のニューヨークで、居並びセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった...。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。
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📝 レビュー (とくこさんのレビュー)

評価:
3/5
レビュー:
自由奔放で天真爛漫なホリー・ゴライトリーという女性を、売れない小説家の僕の視点から描く表題作。
ホリーは自由奔放で周りを振り回す事もあるけれど、彼女はいつだって本気で、そこには相手への愛もある。自分で考え、自分の力で前に進んでいる。
だから彼女は、単に自分勝手に振る舞う女性ではなくとても魅力的な女性。

表題作以外の3作も、ホリーの言葉でいうなら「野生」訳者の村上春樹の言葉で言うなら「イノセンス」の魅力を持った人物が描かれている。
そしてこの魅力は、やがて失われる物だったり、決して手には入らない、手元に置いてしまったら変容してしまう繊細な物である印象を受けた。

外国文学を読むといつか原文で読んでみたいと思う。
いつか…いつかなんて来るかな…。

読書履歴

2015/08/15 282ページ
2015/08/14 223ページ 生まれてこのかた、まだ海を目にしたことはない。今に至るまでずっと、地面に足をつけて生きてきた。この時期に囚人の一人が死んだ。棺桶を作っている音が庭に届いた。釘が一本打ち込まれるたびに、ミスタ・シェーファーは思ったものだ。「こいつは俺のために作られている。あれは俺の棺桶なんだ」と。
2015/08/13 179ページ 恋をしたときってだんな気持ちになるわけ?と彼女は尋ねた。ああ、それはね、とロシータは目をうっとりさせて言った。まるで心臓に胡椒をふりかけられたような気持ちなんだよ。血管の中を小さな魚たちがそよそよ泳いでいるみたいな心持ち。オティリーは首を振った。もしロシータが嘘偽りなくそう言っているのだとしたら、私はまだ恋というものをしたことがないに違いない。だってこの館を訪れる男たちの誰に対しても、そんな風に感じたことがないんだもの。
2015/08/12 152ページ その手紙を目にしたとき、彼女は目を細め、唇をぎゅっと曲げ、小さな微笑みを作った。そうするととたんにぐっと大人びて見えた。「ダーリン」と彼女は僕に言いつけた。「そこの抽斗から化粧バッグを取ってくれない。女たるもの、口紅もつけずにその手の手紙を読むわけにはいかないもの」
2015/08/12 116ページ 「野生のものを好きになっては駄目よ、ベルさん」、とホリーは彼に忠告を与えた。「それがドクの犯した過ち。彼はいつも野生の生き物をうちに連れて帰るの。翼に傷を負った鷹。あるときには足を骨折した大きな山猫。でも野生の生き物に深い愛情を抱いたりしちゃいけない。心を注げば注ぐほど、相手は回復していくの。そしてすっかり元気になって、森の中に逃げ込んでしまう。あるいは木の上に上がるようになるをもっと高いところに止まるようになり、それから空に向けて飛び去ってしまう。そうなるのはめにみえているのよ、ベルさん。野生の生き物にいったん心を注いだら、あなたは空を見上げて人生を送ることになる」
2015/08/12 114ページ 「でも今日は日曜日よ、ベルさん。日曜日には時計はゆっくりとしか進まないの。それにだいたい、私はまだベッドにも入ってないんだから」
2015/08/12 101ページ 彼女は簡易寝台の上に身を起こした。彼女の顔と裸の胸は、日焼け灯に照らされて、冷ややかな青に染まっていた。「ここからドアまでだいたい四秒かかるんだけど、それをきっかり二秒で行ってちょうだいね」
2015/08/12 95ページ 彼女は肩をすくめた。「そんなの、お化粧室に行くときのチップ数回分よ。でも約束してちょうだいね。何があってもこの中に生き物を入れないって」
2015/08/08 46ページ 孤独が生活にしのび込んできた。僕の心はなぜか落ち着かなかった。しかしだからといって、ほかの古い友人に会いたいという気持ちも湧いてこなかった。彼らは今では、砂糖も塩も入っていない料理みたいにしか感じられなかった。
2015/08/08 31ページ 瞳は大きく、いくぶん青く、いくぶん緑で、いくぶん茶色だった。髪と同じようにあちこち色が混じっている。そして髪と同じように生き生きとした温かな光を放っていた。

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