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謹訳源氏物語私抄
林望
林望先生が十三の視点から源氏物語の読み方を指南してくれる。引用する原文が長いとか重複しているとか難点もあるが、ふむふむと納得する点や気付かなかった点を教えられたり、全体としては楽しく読むことができた。今回、源氏物語本体を読んでからこの私抄を読んで、ふむふむというか所が沢山あり、楽しかったのだが、読み方指南なのだから、本来はこれを読んでから本体を読むべきなのかもしれない。だが、そうするとネタバレになってしまい、新鮮な驚きが奪われてしまうかもしれない。そうすると、はじめに本体を読んで私抄を読み、再度本体を読むというのが良いということになるか。源氏物語全体を読んでみて、従来はまったく見向きもしなかった帚木の重要性がわかったのだが、この私抄でも、この部分がこれに対応しているということを丁寧に解説してくれていて、源氏物語を味わう上で良い指南書だと思った。
18時間前
日本架空伝承人名事典
大隅和雄, 阪下圭八, 広末保, 西郷信綱, 服部幸雄, 山本吉左右
収載範囲は記紀神話の神々より近世末迄なり。
実在の人物には略伝を添へたり。
引用文を附して出典を明示せるぞいと良きかも。
実在の人物には略伝を添へたり。
引用文を附して出典を明示せるぞいと良きかも。
4日前
林望先生訳源氏物語の第9巻。早蕨、宿木、東屋を収録。中君が京の匂宮の邸に移る早蕨、巻名の由来は阿闍梨との和歌。匂宮は六の君と、薫は女二の宮とそれぞれ結婚する宿木。巻名の由来は薫が宇治の山荘で折り取り、和歌を詠んだ蔦の枝。匂宮の邸に難を逃れたはずの浮舟にとんだ災難が降りかかる東屋。巻名の由来は浮舟が逃れた先。真面目一筋のはずの薫が、匂宮と結婚してどうにもならなくなった中君に再三にわたってちょっかいを出し、中君が苦し紛れに浮舟のことを話す辺りは、空蝉を連想させる。しかし、浮舟のことを聞いた薫は、例によっておっとり構えていて、その辺りはやはり源氏とは違うのかもしれない。最後には、らしくない大胆な行動に出る薫。どうせなら自分の邸に連れてくれば良いのにと思うが、女二の宮を正妻にもらった世間体が許さないのだろう、やきもきさせる展開ではある。乳母と右近のがんばりでなんとか危機を脱する浮舟だが、何もしようとしない中君の性格は案外良くない。少なくとも私はあまり好きになれない。
2026年3月1日