内容紹介
書籍情報提供: Google Books
読書履歴
AIが見つけた似た本
「告白 (中公文庫)」の書誌情報と、 この本を読んだ人の本棚から、 近そうな本を10冊見つけました
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
湊 かなえ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の...
私が彼を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾
婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。男は自分との関わりを隠そうとする。醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。事件の鍵は女が残した毒入り...
殺人の門 (角川文庫)
東野 圭吾
「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことがで...
半落ち (講談社文庫)
横山 秀夫
「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”な...
人質カノン (文春文庫)
宮部 みゆき
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバ...
どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾
最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、そ...
卒業 (講談社文庫)
東野 圭吾
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。 ある日、祥子が自室で死んだ。 部屋は密室、自殺か、他殺か? 心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。 し...
殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)
真梨幸子
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を...
夜明けの街で (角川文庫)
東野 圭吾
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱え...
超長編にも関わらず後半は夢中で読み耽った。
不思議なことに書評にあるように物語はロックの音楽が鳴っているような疾走感。重松清の疾走よりもずっと重くなのに颯爽と結末に向かって走る。
主人公の城戸熊太郎は過去の過ちに囚われ、人生を棒に振り、真面目に生きることも不真面目に生きることもできなかった哀れな人間である。
ただ、眩しいくらいに純粋だと感じた。決して、物事を悲観的に捉えるでも、楽観的に捉えるでもないのだが、他人を疑うことを知らない、また自分を疑うことも知らないのだ。
世界には「正義」が確固として存在しており、自分はそれを信じて行動しているから生きるに値する。けれど、たまには正義から逸れるのもしょうがないよね。というような非常に曖昧な信念のもとで日々、生きている。
周囲の目を気にして、つい格好の良い発言や行動をしてしまい、自分の首を絞めるという典型的な阿呆である。しかし、他人を責めつつも自分の非も素直に認める憎めない存在だ。
また、熊太郎は思弁と行動が伴わない点をコンプレックスとして抱いている。考えていることをすらすらと言葉にすることができず、ついつい言葉足らずになり相手から誤解を受ける。そして、自分を理解してくれる人はいないことに絶望し、世間に対して真っ直ぐに生きることを諦めるのだ。
上に挙げた、信念が曖昧である点と自分の思いや考えと行動が伴わず他人から理解されない点について私は読中、痛いくらいの共感を覚えた。
他人がすれば厭悪に感じる行動を自分がとってしまうのも時にはしょうがない。
なぜ相手はこんなに早とちりをしてしまうのだろう。
なんで自分はこんなにも勘違いされるのだろう。
そう言ったことを常日頃感じている私にとって熊太郎の存在は、救いとなった。
決して、真似をしたい生き方ではないが、強い憧れを感じていたことは事実である。
私には熊太郎にある愚直さはない。そのため、自分のしたいようにすることができずに、余計に世間に対して猜疑心を抱いてしまうのだ。
これまで読書をしてきて「救い」となった本に出会ったことはないのではないだろうか。
よく書評で見かける言葉であるが、小説に救われる感覚が理解できず、使い勝手の良い言葉だと感じていた。
しかし、本書は間違いなく「救い」である。自己の存在を認めてくれたのである。
どのシーンが印象的ということは特別ない。どの場面においても熊太郎が不器用に不甲斐なく生きており、身の回りの出来事に一喜一憂している様子が伺い知れる。
私は、今後何度も本書を書棚から取り出しては、パラパラとページを捲り、じっくり読むでもなく、熊太郎に会いに行くであろう。