
この本について
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レビュー
各章ではシンプルな語りであるにも関わらず、それぞれの人格・性格などが浮き彫りにされていて見事な表現力。更に「救い」のない重みのある結末なのに、軽やかさを感じさせる文章力とくれば本屋大賞受賞も頷ける。
ストーリー的には母を慕う愛情故にダークサイドに堕ちてしまう生徒A、その犠牲となり娘を殺された憎しみからダークサイドへ堕ちた教師、そしてそれらの振り回されて悲劇に陥った人々たちの物語といったところだろうか。
まぁ、あくまで小説なのでダークサイド面での行きすぎ、やりすぎは仕方のないだろうし、それ以外でも若干異常性のあるキャラクターを許容範囲とすれば、それぞれの主張も理解できる(共感はしないが…)ものであり、現実味を帯びた事件として親子の向き合い方や少年法のあり方について考えさせられる。
…本作ではあくまで母と子供との立場で3組の親子が登場するが、同様の事件に巻き込まれた場合に父としての自分はどう振る舞うのだろうか。。。。
蛇足的なツッコミではあるが、「世直しやんちゃ先生」が癌と偽ったのは何故だろう?
これほどの方であればHIVについて正しい理解を求める啓蒙活動をしててもおかしくないと思うのだが。。。
しかも、森口先生の所業は知ってた訳だし…
たしかに、なかなかすごかった。
次々に語られる悪意の内容もさることながら、
登場人物全員が心の中で誰かを見下している、
自分が一番大事で、保身のためなら一番大事な人さえ軽く欺いちゃう、という構図が。
そしてその悪意と保身が、取り返しのつかない事態を引き起こしてしまうというドミノ倒し。
どす黒い本音の前では、前向きな言葉や過去の美しい思い出など果てしなくペラい。
背筋がゾクっとしました。
と同時に、森口先生の言葉の端々から出る毒が、ちょっと心地よかったり。
自分もやっぱ黒いなと再確認させられました。どよーん・・・
中島哲也×松たか子×岡田将生、ぴったりだと思います。
映画も見たいな。

結末で著者が伝えたかった意図はなんだったのだろうか?「リセット」?「復讐」?「狂気」?「虚無」?大きな争点だろうが、この作品にドラスティック性を加えた点は間違いない。個人的には一言で「もったいないなぁ」という感想。
映画作品は陳腐な猟奇ものとか中途半端な学園ミステリーと見なされないように願いたい。

映画の方が以前から気になっていたのだが、CSで放映されるので、見る前に原作を読んでおこうかな、と図書館で借りて来た。
2時間と少しでサササーッと読んだ。
予想に反して、初めの章であらかた何が起きて誰が犯人か分かる構成なのね。
何となく、松たか子が生徒たちの前で、犯人は分かっているのに、なかなか結論を言わずにネチネチと追い詰めるように語り続ける話かと思っていた。
最後の映画監督のインタビューが無ければ(モノローグ形式だが、登場人物が語っている内容に、本人の無意識も含めて嘘が含まれている、という話)書いてある事を全て鵜呑みにしていた。
そこを踏まえて、返す前にもう一度読んでおきたいな。
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