📝 レビュー (机龍之介さんのレビュー)
不条理劇に終始している。村上春樹の小説にでてきそうないまいち煮え切らないクール風の主人公が、罪の意識を背負って許しを求めて戦場を渡り歩く。暗殺対象の恋人に会いたいから。
なぜ彼女でなければならなかったのか?なぜ母親の人生で主人公は登場人物にならなかったのか?虐殺の文法って具体的に何?最後に主人公がアメリカで虐殺劇を発動させた理由は?みたいな疑問が残る。だがしかし、多くの問題については、理由はない。だから不条理劇。あえて言えば「世界というものがそうあるべき唐突さを、またあらためて剝き出しにしたにすぎなかった」からで、「太陽がまぶしかった」のと同じ程度の理由だ。
その意味では、カフカ的。エンターテイメント性を持った自分の存在も含め、世界は無慈悲で不条理だという現実を突きつけていた。
「仕事だから仕方ないという言葉が虫も殺さぬ凡庸な人間たちから、どれだけの残虐さを引き出すことに成功したか、きみは知っているのかね」
ところで小松左京がこの小説を落選させた理由を見て感じた。虐殺の文法がなんだかわからないけど、フリーソフトを扱うみたいに簡単に扱える。ここに説明求めるのは間抜けじゃないか?だって、私たちはリモコンのスイッチを押せば、TVのチャンネルは変わることを理解しているわけだから。
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