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自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫)

自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫)

この本の所有者

(4.0)
3人が登録
67回参照
2014年11月3日に更新

書籍情報

ページ数:
222ページ
参照数:
67回
登録日:
2014/11/03
更新日:
2014/11/03
所有者:
てあ てあさん

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内容紹介

かつてヨーロッパでは、どのような生活が営まれていたか。日本人がヨーロッパの歴史を学ぶ意味はどこにあるか。研究を進める上で、どのような着想と、史料操作や文献解読が必要だったのか。「ドイツ騎士修道会」の研究に始まり、ヨーロッパ中世の神秘的で混沌とした社会を豊かに鮮やかに描き出した著者が、学問的来歴をたどることによって提示する「歴史学入門」。
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読書履歴

2014/11/03 155ページ

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たまたま別の本でこちらの本の紹介を見かけて呼んでみました。

ら、これが結構、いや相当面白い!

なんつーか「学問」に対する姿勢に頭が下がります。とにかく。

そう言った方(故阿部謹也氏:元一橋大学学長)だからこそ、これまでにいろんな方との出逢い、経験を経てきているんだなーと。

冒頭は恩師である上原専禄氏との出逢いから始まります。

研究のあり方について、「人物であれなんであれ、研究対象に惚れこまなければ対象をとらえることはできないでしょう。けれども惚れこんでしまえば対象が見えなくなってしまいます。ですから研究者は、いつも惚れこんだ瞬間に身をひるがえして、現在の自分にもどってこられるようでなければならない」と述べたり。はー、離見の見すね。。

他にも、「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう」と述べられているのにもハッとしたり。

途中では「現在」への考察も。現在って概念、ここで書いている瞬間から過去になっているんですよねー。難し。「誕生日」って概念だって、誕生した日は生まれた日でしかないのに、それを暦に当てはめて365日周期にしている不思議さ。ほへー。

「人間は過去に規定され、未来への意思によって規定されながら現在を生きている」ってその通りなのかも。

そのような出逢いから一転、話は著者によるヨーロッパ文明(文化でないところがミソ)の成り立ちに対する考察へと移って行きます。

日本では当然とされている「お返し」の考え方。そもそもが、「贈与・互酬」の考え方、つまりはギブアンドテイクの考え方に立脚しているのに対して、ヨーロッパでは与える先が「神」だから、そもそもそう言った観念が稀少。日本人はそのために、お返しを期待されない贈り物は奇妙に思う。確かにそうかも。悲しいすね。

で、著者の方は、有名な童話「ハーメルンの笛吹き」にも考察を巡らせています。冬至の世情からしても、一概におとぎ話とは言えない、実話って説、なんか解ります。。

その他にも、アジール(聖域)という考え方。これって空間は均質じゃないってことなんですよね。なるほど。

そして、賤民(処刑人、芸人、娼婦などなど)という概念。なぜ「賤民」というものが生まれたのか。そこには、大宇宙、小宇宙、そして、キリスト教という世界最大?の宗教が関わってきているのでしたとさ。はへー。畏怖という感情と軽蔑と言う表現手段。人間って不器用ですよね。。

で、後半では「文化」は発達しているけど「文明」は発達していない日本へのアンチテーゼ的な発言も。これって、今もあまり状況変わっていないのかもね。。

他にも、話題は、ジプシーや音楽にも、モノフォニー、ポリフォニーがどういう意図で生まれてきたのとか。

いやはや、理系の本ばかり読んでてもいかんなーと改めて思いましたです。

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