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Story Seller (新潮文庫)

Story Seller (新潮文庫)

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1,329回参照
2014年4月12日に更新

書籍情報

ページ数:
674ページ
参照数:
1,329回
更新日:
2014/04/12

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📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
3/5
レビュー:
敬愛する伊坂幸太郎の短編が収録されているということで購入した一冊だったが、読まずに置いている間に伊坂幸太郎は新しい作品を生み出し、その中に本書に収録されている「首折り男の周辺」が入っている。
さらに米澤氏の「玉野五十鈴の誉れ」も直近で読了した同氏の「儚い羊たちの祝宴」に収録されていたため、伊坂氏のと併せて2作は本書では読んでいない。
まずこのことを知っていただいた上で感想に移りたい。

「プロトンの中の孤独」近藤史恵
全体的には可もなく不可もなくという印象。
試合に負けて、勝負に勝ったことを表す後輩の行動。自身の才能の限界を感じながらも、好きなことに邁進できる主人公のタフさ。自尊心の高さを振りかざす者の最後。
現実にあれば、記憶に刻まれる話だと思うが、小説の世界では非常にありきたりな話だと思った。☆☆

「ストーリー・セラー」有川浩
悲しい。その一言につきる。
考えれば考えるほど、死に近付く病に罹った小説家の妻をもつ夫の悲しみと、つい微笑んでしまうほどの二人の幸せな過去を描いた。
妻はどれだけ救われたのだろう。自分に翼を与えてくれた。可能性を見出してくれた。心の最も弱い部分に共感してくれた。褒めてくれた。
そんな彼が大好きなら、死んでも構わない。
それに自分だって、死んでも書き続けたい。
理解の範疇にある妻の行動に共感を覚えた時、私の心は激しく揺れた。
ただ、ラストの投げやり感が否めなかった。☆☆☆☆

「333のテッペン」佐藤友哉
面白くなかった。
登場人物の個性、場面、会話、トリック、全てにおいて面白くなく、興味が抱けなかった。読んでいる間、まだ小説家の歴史の浅い、というか最早小説家になれていないようなどこにでもいる素人が書いたものだと思っていた。話の流れだけ考えて無理矢理繋げた感じ、少し気取った会話にしようと企んだ感じ、豆知識を盛り込んだ方が興味を抱くかもしれないと勘繰った感じ。現実にあったかは判然としないがそのどれもが伝わってきて、読んでいるのが苦痛だった。


「光の箱」道尾秀介
本書の中の傑作は間違いなくこの話だ。
極めて感動的なラブストーリーであるが、本格的なミステリと鮮やかなミスリードが盛り込まれている。
話の題材もユニークであるし、何よりラストが清々しい。陰鬱な物語だろうなというか、最早確信に近いものを感じていたところに、稲妻が落ちる。陰鬱なんて言葉はとんだ的外れだった。これは優しさと寂しさで作られた切ない友情と恋情の物語なのだ。
☆☆☆☆☆

「ここじゃない場所」本多孝好
評価すべき点は登場人物だけかな。
序盤では、設定の面白さを感じたが、箱を開ければ大風呂敷を広げただけだったように感じられる。
大して気にもならなかったが、分からないことだらけで正直感想という感想がない。
読了した直後も「ふーん」の一言だけだったと思う。
☆☆

これら5つの短編だけで評価したところ、本書の評価は平均の☆☆☆だった。

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