メニュー
流れ星が消えないうちに (新潮文庫)

流れ星が消えないうちに (新潮文庫)

橋本 紡

この本の所有者

33人が登録
189回参照
2011年7月24日に更新

書籍情報

著者:
橋本 紡
ページ数:
343ページ
参照数:
189回
登録日:
2011/06/19
更新日:
2011/07/24
所有者:
まい まいさん

この本を共有する

内容紹介

忘れない、忘れられない。あの笑顔を。一緒に過ごした時間の輝きを。そして流れ星にかけた願いを―。高校で出会った、加地君と巧君と奈緒子。けれど突然の事故が、恋人同士だった奈緒子と加地君を、永遠に引き離した。加地君の思い出を抱きしめて離さない奈緒子に、巧君はそっと手を差し伸べるが...。悲しみの果てで向かい合う心と心。せつなさあふれる、恋愛小説の新しい名作。
Google プレビュー 書籍情報提供: Google Books
Google Booksで見る

📝 レビュー (まいさんのレビュー)

評価:
4/5
レビュー:
人間ってさ、誰かに頼らないと生きられないんだよな。だけど、一人で生きてられるようにならなきゃいけないとも思ってる。でないと、結局、ただもたれ合うだけになっちまうだろう。それじゃだめなんだ。ちゃんとひとりで立てる人間同士が、それを分かった上でもたれあうからこそ、意味が生まれるんだ。
不幸なんていくらでもある。けれど、ありふれているからと言って、平気でやりすごせるかといえば、そんなわけはないのだ。じたばたする。泣もする。喚きもする。それでもいつか、やがて、ゆっくりと、わたしたちは現実を受け入れていく。そしてそこを土台として、次の何かを探す。探すという行為自体が、希望になる。
とにかく、終わりがくるそのときまで、わたしたちは生きて行くしかないのだ。
なぜ、ひとは、なくなったひとのことを星になったというのだろう。
星は変わらない。四季おりおり配置を変え、東から西へ流れてはいても、また夜が訪れ、季節がめぐり、星は変わらずそこに光っている。なくなった人も同じ。
今とあの頃が少しずつ離れていくのは、悲しいことなのか、それっも幸せな事なのか。
橋本さんはずっと「歩き出す瞬間」を描きつづけている作家。それは、終わりと始まり、喪失と再生を描くこと。生きること。は、知らなかった事を知る事でもある。いまを、どう受け入れて、自分自身のいまの一歩をどう踏み出していくのか。
歩き出す瞬間とは、生きる事を肯定する瞬間でもある。
空を見上げるのは祈りだ。
傷つき、苦しんできたひとたち、永遠を生きることがかなわないからこそ、愛おしい生を生きるひとたちが捧げる、歩きだすための祈りだ。

読書履歴

2011/07/24 343ページ
2011/07/24 332ページ
2011/07/23 247ページ
2011/07/23 236ページ
2011/07/23 215ページ
2011/07/21 152ページ
2011/07/20 131ページ
2011/07/18 87ページ
2011/06/19 49ページ

ログインが必要です

この本をレビューしたり、読書進捗を記録するにはログインが必要です。

ログイン

AIが見つけた似た本

「流れ星が消えないうちに (新潮文庫)」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました

78.6%
終わりのクロニクル〈7〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)

終わりのクロニクル〈7〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)

川上 稔

2nd‐Gの概念下で命刻の攻撃を受け、危篤状態に陥った新庄...。一方、その命刻は詩乃を抱え、かつてTop‐Gで新庄の両親が作り上げた、概念創造機械ノア=バベルへと向かった。そして、マイナス概念の活性...

4人 5
77.9%
ホワイトアウト (新潮文庫)

ホワイトアウト (新潮文庫)

真保 裕一

日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。残された時間は24時間!荒れ狂う吹雪をついて、ひとりの男が敢然と立ち上がる。同僚と、かつて自分の過失...

28人 4
77.8%
羊たちの沈黙
77.5%
新訂 徒然草 (岩波文庫)

新訂 徒然草 (岩波文庫)

西尾 実

『徒然草』の面白さはモンテーニュの『エセー』に似ている。そしてその味わいは簡潔で的確だ。一見無造作に書かれているが、いずれも人生の達人による達意の文章と呼ぶに足る。時の流れに耐えて連綿と読みつがれてき...

9人 4
76.5%
人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1)

人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1)

田中 ロミオ

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人...

18人 3.5
76.5%
きよしこ (新潮文庫)

きよしこ (新潮文庫)

重松 清

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを...

42人 3.8
75.8%
七つの黒い夢 (新潮文庫)

七つの黒い夢 (新潮文庫)

乙一

天使のように美しい顔をした私の息子。幼稚園児の彼が無邪気に描く絵には、想像を絶するパワーがあった。そしてある日―。乙一の傑作「この子の絵は未完成」をはじめ、恩田陸、北村薫、岩井志麻子ら、新感覚小説の旗...

19人 4

グローバル検索

ReadNest全体から本やレビューを検索します