山本周五郎長篇小説全集 第六巻 栄花物語
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「天下に、その名をとどろかすのだ!!」「嘘」と「真実」の間隙を衝く、寄想天外、抱腹絶倒の物語。逆境に克つ女性を描く秀作も。“脚注”で楽しむ、新しい周五郎。
山本周五郎作品全般に言えることだが、読んでいると、登場人物の何ともどかしいことか。本作品は、江戸時代の代表的アンチヒーロー田沼意次の物語であるが、山本周五郎らしく、田沼父子以外の庶民の姿も描かれている。田沼意次は一般には汚職政治の元凶と言う認識だと思うが、ここでは幕府の立て直しの為に、守旧派と闘う清廉な政治家として描かれている。山本周五郎は小説的真実を描いたのだから、これが真実とは言えないが、読んでみると、田沼意次は実務家ではあったが、人を動かす力には欠けていたのかた、こう言うことはあるなと感じさせる。それにしても、保之助にせよ信二郎にせよ、いや当の田沼意次も、なんとじれったいことか。それが山本周五郎の良さなのかもしれない