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青の炎 角川文庫

青の炎 角川文庫

貴志 祐介

この本の所有者

8人が登録
103回参照
2015年9月10日に更新

書籍情報

ページ数:
495ページ
参照数:
103回
更新日:
2015/09/10

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📊 読書進捗 (あおみさんの記録)

2015/09/10 495ページまで

📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
4/5
レビュー:
母の元結婚相手を憎み、用意周到に殺人を計画する青年が主人公である。これがまた村上春樹的な主人公であり、高校生らしさなど欠片もない。女性の扱い方を熟知しているかのように振舞い、アルコール度数の高い酒を嗜み、大した努力をせず頭脳も明晰ときている。
一言で表すのならば、鼻につく奴だ。
ただ、元結婚相手を殺したくなるという気持ちには大変共感できる。それほどまでに憎く、醜い人間だった。
さらに共感できる点が、青年の動機である。彼は自分がその環境に身を置きたくないからではなく、その環境で暮らさなくてはならない母と妹を思って殺人を計画した。また、その殺人を勘付かれた元友人の殺害計画を企てた際の動機も、人殺しの息子や兄をもつ苦しみを慮ってのことだった。いや、恐らく彼自身の気持ちも多分に含まれていただろう。しかし、最大の動機は家族愛だった。
そして、最後、青年は自殺する。その描写が大変美しく、潔く、輝いていて、私は驚くと同時にうっとりした。
自殺の動機もやはり家族愛で、自分にかかった容疑が晴れることがないと推測し、母と妹に降りかかる災難を最小限にするためだった。
小説としては、中々殺人に至らないもどかしさを覚えたが、リアリティに富んだ良作だった。

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