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月と蟹 (文春文庫)

月と蟹 (文春文庫)

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(3.0)
12人が登録
167回参照
2015年4月6日に更新

書籍情報

ページ数:
358ページ
参照数:
167回
登録日:
2015/01/11
更新日:
2015/04/06

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内容紹介

海辺の町、小学生の慎一と春也はヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを考え出す。無邪気な儀式ごっこはいつしか切実な祈りに変わり、母のない少女・鳴海を加えた三人の関係も揺らいでゆく。「大人になるのって、ほんと難しいよね」―誰もが通る“子供時代の終わり”が鮮やかに胸に蘇る長篇。直木賞受賞作。
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読書履歴

2015/04/06 358ページ
2015/03/28 0ページ

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非常によくできた作品だと思う。
中学生という青春の頭の時代を全力に生きる少年少女の葛藤や、自尊心、友情、恋心、嫉妬を見事に描いた。
彼らはこのどれもが初めての感情で、ましてや上述した表現を持ち合わせていることすら知らずに、ただひたむきに自身の心と向き合おうとする。
不器用に、そして大胆に。
そして決してそんなことはないのに、自分だけがこの世界において特別で、周りとは違っているんだという歪んだ感性を持ちながら。
あの年齢にとって両親の裏切り(それは裏切りと表現するには、言葉の威力が強大すぎる感が否めないが、少年はそう感じただろう)は鋭く、そしてとても深く、彼らの心に傷を残す。
その痛みが成長を与えてくれるとも露知らず、彼らの心は酷くヤツれ、己の心の在り場所を求めながら他人を蹴落とすのだ。

そんな少年少女の心の成長を本書は見事に描いた。そう、直木賞を獲得するぐらい見事に。ただ、それは見事なだけだった。
評価するにあたって、何か他の類似作との違いや、アイデンティティを探したが、一向に見当たらない。
例えるなら、本作は真四角の正方形である。
どうみても整っており、所謂模範的な四角形であるのに対し、個性の出てるひし形や平行四辺形は形が多少歪であるのに対し、印象に残りやすい個性というものが生きている。
本書には正しく「個性」がなかった。

ただひたすらに、模範的な青春の葛藤を描いたストーリーが続いて、続いて、続いて、幕を閉じる。

著者の作品はこれで四作目だが、「片眼の猿」以来の衝撃を再び、期待する。

さき
さき Lv.70

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