メニュー
高校入試 (単行本)

高校入試 (単行本)

湊 かなえ

この本の所有者

14人が登録
79回参照
2013年11月1日に更新

書籍情報

ページ数:
383ページ
参照数:
79回
登録日:
2013/11/01
更新日:
2013/11/01

この本を共有する

📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
2/5
レビュー:
ドラマは生憎、観れていないが面白かったという評判のため、原作だけでも読んでおこうかと思い、図書館で借りた。

本書の感想からは少し離れるが、私が読書を趣味とするに至った経緯をここに。
この本の著者でもある湊かなえさんの『告白』を読んで私は凄まじい衝撃を受けた。ページを捲る手が止まらない体験をした初めての本がそれである。
すべて話し言葉で描かれており、内容も誰が救われる訳でもなく、個々人が自己満足のために走っている。しかし、どこか彼らを応援したくなるような、せめてその復讐だけは晴らさせてやってくれ、と願いたくなるような人物たち。
暗い話の中に微かな希望があるような物語を私は好んでいた。そこから著者の作品をいくつか読んだ。『少女』『夜行観覧車』しかし、いつまでも一人に拘っていては世界は広がらないと感じ、読書の幅を広げていった。その後、時が経ち本書『高校入試』が久々の私が読む湊かなえ作品となった。それだけに大きな期待を抱いていた。

ここから本書の感想を述べる。
物語は高校入試を舞台にして、色々な妨害行為、いわゆるモンスターペアレントの登場、ネット掲示板への漏洩など様々な問題に対して奔走する教師たちの真の姿を描く。
掲示板の最初に書かれた「入試をぶっつぶす!」が何を意味するのか、読者はその首謀者と真の目的を知ろうと話を読み進めて行く。
しかし、結末がピンとこないというのもあるが、この著者に望んでいる作品とは異なっていたというのが本書の評価を下げた最大の要因だと考える。
言ってしまえば、復讐を果たすべく大きな企みを持って行動するが、それが後にしてはならなかった行為だと気付き、反省する。しかし周りは、糾弾するでもなく仕方ないよ的な反応で慰める。そしてこれからは真面目に生きようと心を入れ替え、今日が人生の再スタートの日だなどと新たな希望を胸に抱いて物語の幕は閉じる。
こういった物語の進展には辟易した。
ありきたりだと思う。
『告白』の著者である湊さんにはこんな物語書いて欲しくなかった。
高校入試をたかが年に一度の行事としてしか認識していない教師たちの姿には、心底腹が立ったが『告白』で感じた暗い気持ちとは質が異なる。
語り手を変えていく書き方もさすが著者だと感じたが、頻繁に行われるため誰が誰だか分からなくなってしまう。
首謀者が外部の人間でなく教師だったという結末はよかったが(よかったというよりはそうでないとただの駄作となっていた)、いまいち目的と動機が理解できなかった。
これらの不満点と、さらなる期待を込めて本作の評価は星2つとする。

結末が異なると言われている本作のドラマは是非見たい。
無理矢理、結末を変えさせられたから本書は不十分に思えたのかもしれないから。

読書履歴

2013/11/01 383ページ

ログインが必要です

この本をレビューしたり、読書進捗を記録するにはログインが必要です。

ログイン

AIが見つけた似た本

「高校入試 (単行本)」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました

79%
学校の階段8
77.6%
読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)

斎藤 孝

本を読むことは,生きる力とどうつながるのか

57人 3.8
75.3%
青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

桜庭 一樹

東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者(アウトロー)だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の“クラブ誌”があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が...

10人 5
74.8%
STUDY HACKS!

STUDY HACKS!

小山 龍介

ビジネスマンの学習生産性を、楽しみながら画期的に向上させるハック集。資格試験から、語学学習、MBA取得まで若手ビジネスマンが身につけておきたい学習ノウハウを網羅する。

9人 4.3
74.8%
失敗学のすすめ (講談社文庫)

失敗学のすすめ (講談社文庫)

畑村 洋太郎

恥や減点の対象ではなく、肯定的に利用することが、失敗を生かすコツ。個人の成長も組織の発展も、失敗とのつきあい方で大きく違う。さらに新たな創造のヒントになり、大きな事故を未然に防ぐ方法も示される―。「失...

18人 4
74.8%
新訂 徒然草 (岩波文庫)

新訂 徒然草 (岩波文庫)

西尾 実

『徒然草』の面白さはモンテーニュの『エセー』に似ている。そしてその味わいは簡潔で的確だ。一見無造作に書かれているが、いずれも人生の達人による達意の文章と呼ぶに足る。時の流れに耐えて連綿と読みつがれてき...

9人 4
74.6%
奪取〈上〉 (講談社文庫)

奪取〈上〉 (講談社文庫)

真保 裕一

一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫っ...

25人 3
74.3%
紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

片山 憲太郎

揉め事処理屋を営む高校生・紅真九郎のもとに、とある少女を守るという依頼が舞い込んできた。少女の名は、九鳳院紫。世界屈指の大財閥の御令嬢。詳しい事情を聞かされぬまま、真九郎は紫との共同生活を開始。彼女の...

6人 5

グローバル検索

ReadNest全体から本やレビューを検索します