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儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

米澤 穂信

この本の所有者

37人が登録
98回参照
2014年3月29日に更新

書籍情報

ページ数:
329ページ
参照数:
98回
更新日:
2014/03/29

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📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
3/5
レビュー:
著者、米澤穂信 氏の作品は本作が初である。「インシテミル」や「氷菓」は映像作品として愉しんだことはあるが、読書としてはこれまで機会がなかった。

良い意味でも悪い意味でも、本作の評価すべき点はやはり「ラスト一行」だろう。
良い意味については言わずもがななので、悪い意味というのは説明しておく。
最後の一行にどんでん返しがあると知っているからこそ、期待してしまうし、物語を進めながらも頭を働かせてしまう。要するに、純粋に文学を愉しめているのかどうか疑問に感じてしまうのだ。

本作は五篇の短編小説が「バベルの会」というある大学の読書好きな女学生が集まるサークルで、柔らかく、そして緩く繋がっている。
その五篇のうち、「ラスト一行」が悪く作用したのは、三篇目に収録された「山荘秘聞」だと思う。
何より、結末に想像がついたし、それ故にその衝撃も乏しかった。
そして、悪くも良くも作用しなかった作品が「身内に不幸がありまして」と「儚い羊たちの晩餐」である。
これらは物語自体の面白さは充分なのだが、ラスト一行という観点からみると、物足りない。起承転結の流れをしっかりとしており、結の部分では物語をまとめていた。
最後に「ラスト一行」の衝撃が凄まじかった作品が、「北の館の罪人」と「玉野五十鈴の誉れ」である。
とくに後者は凄かった。
その発言がここに生きてくるのか!と感動したとともに、その展開の残酷さに全身に痺れが走り、鳥肌が立った。
この作品のような短編は本当に読み応えがあって、ただ純粋に憧れる。
たった4-50ページだけでこんなにも読者の心を揺さぶれるのか、と。
いつか短くても、誰かの心を震わす作品を書いてみたいものだ。

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