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読書履歴
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奇談・怪談を七人の作家がそれぞれ個性でもって書き綴った短篇集。
七作品、それぞれがそれぞれの作家の味がして、どれも美味しい作品でした。
ということで、感想は作品ごとに。
***
・この子の絵は未完成(乙一)
繊細で美しい一作。
実は私、乙一作品をこれまで一作も読んだことありません。で、これまで、いわゆる「黒い」内容が多いような印象を(勝手ながら)持っていたので、七つの黒い夢と聞いて黒い作品かと思えば、そんなことはなかったわけです。
さておき、この作品の見所はというと、結末の美しさであるとか、そこに至る過程であるとか、そういうことではなくて、むしろ、非常識が当たり前のように描かれているところにあると思います。そしてそれについて何ら理由の説明がない。この妙をこそ味わってほしいなぁ、と。
・赤い毬(恩田陸)
不思議な体験を綴った、味わい深い作品でした。
追体験するように、「私」の独白と「私」の視点での描写で物語が展開していくわけですが、臨場感であるとか、緊張感であるとか、それがとてもよく表現されていて、引き込まれずにはいられない。
特に、独白に対する「母」の否定と、それでもそれは事実だったのだと、「私」が「母」の言葉を否定することで、その体験の奇妙さ、不思議さを印象付けている点に注目してほしいところ。「私」と「母」、そして「祖母」と、その連なりにも、もちろん無関係ではないと思うので。
・百物語(北村薫)
実は私、怖い話が苦手なんです。
怪談や都市伝説の類が特に苦手でして、はっきりしないもの、正体の分からないものなど、背筋にぞくぞくと電気が走るようです。
で、百物語というと、一つ一つ怪談を話していくわけですが、別に百物語をひとつひとつ語る、そういう話ではありません。短篇ですから、ページが足りるわけがありませんし。なので、百物語を題材にした、怪奇小説ということになります。
おお、怖い怖い。
この作品で秀逸なのは、まず導入で、「わたし、寝たくないの」の一言はかなりインパクトが強かったです。男ならあらぬ想像をするところですが、そうではない、とすぐに示して、事情を説明しながら、本題へと入っていく、その流れもスムーズでした。
それから、「ろうそくを消す」行為の代替として部屋の灯かりをひとつずつ消すところ。これが徹底されていた、という点もとてもよい。なにしろ、電話機のランプまで消すという。しかも意味があってのことなので、なおのことよい。
そして、何より、最後の一文。ここには書きませんが、これは……ぞっとしますね。余韻の残し方というか、結末のぼかし方というか。
さて、ここらで一言「おまえだー!」が怖い。
まんじゅう怖いでした。
・天使のレシート(誉田哲也)
タイトルホイホイでした。
これについては細かな感想は書きません。展開の妙をぜひ味わってもらいたいので、多くは語りたくないんです。
ただ、この一冊にあって、この作品が一番好きかも。
・桟敷がたり(西澤保彦)
これまた後味の悪い一作。
面白いと思ったのは、直接ではなく、事件を通して心理を描き出す点。徐々に明らかになる事件の容貌から、そこに込められた感情を知って、そのおぞましさが見えてくる。
もちろん、事件を紐解く過程もよく練られていて、これはいいミステリでした。
・10月はSPAMで満ちている(桜坂洋)
一応、よくわかる現代魔法の外伝的な話になってるみたいです。
桜坂節満載。情報産業的な話題も、これでこそ桜坂洋です。
SPAMを取り扱う会社に入った「ぼく」の話は、ちゃんとSPAMで終わります。
もちろん、タイトルも無意味ではなくて。
なんというか、よくわかる現代魔法を読んでると嘉穂が「すーぱーはかー」なのは自明なので、特に「やられた」というわけじゃないのだけれど、「やられた」人間を見てるのは微笑ましくていいですね。まぁ、分かってて書いてるんだろうけど。
それにしても嘉穂かわいいよ嘉穂。
・哭く姉と嘲う弟(岩井志麻子)
怪談語りの体裁を取った、この話自体も怪談、という二重構成の妙がとても心地良い作品でした。
そこかしこにただようエロティシズムも、とても味わい深い。「姉」と「弟」という立場を選んだのも、そのためかなと思います。あと「弟」の視点で語られる奇談に対する感想の、語り口調の丁寧さとかも。
視点がずっと弟視点できて、最後に実は、という展開は、一人称だからこそできることですね。姉の描写がまったくない点も、まさしくそのため。
ごちそうさまでした。

読んだのは乙一さんだけ。
乙一さんの得意な4部構成。
乙一さんらしいラストの書き方。
乙一さんらしい読後感。
ありえなさ度が高くて、ついていくのが少し大変だったけど。
子供特有の能力だからこそできたこと。
私にできることは何だろう。
七人の作家のによるダークファンタジー短編集。怖い話というよりおやっと小首をかしげる程度の奇妙さ。一つ一つの話が短いので小説を読むというより友達同士で集まって少し不思議な話を語り合ったぐらいの軽い気持ちで読む進めた。