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十代目金原亭馬生 噺と酒と江戸の粋

十代目金原亭馬生 噺と酒と江戸の粋

石井 徹也

この本の所有者

1人が登録
25,534回参照
2012年1月3日に更新

書籍情報

ページ数:
257ページ
参照数:
25,534回
登録日:
2012/01/03
更新日:
2012/01/03
所有者:
zooko012 zooko012さん

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📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)

レビュー:
客席がピンク色に染まり、老若男女とわず、幸福のため息で一杯になる。そんな志ん朝の高座を経験している。それでもなお、自分が一番愛してやまないのは、CDでしか知らない馬生なのだ。いぶし銀の名人と言われてはいるが、父志ん生、弟志ん朝の陰に隠れた地味な存在のためか、馬生にスポットを当てた本はなく、寂しいと思っていたところの本書である。馬生の弟子の対談、娘の池波志乃、娘婿の中尾彬へのインタビュー、談志のインタビューなど、ファンにはたまらない。何よりも嬉しいのは、馬生の大ファンであったという末廣席亭の暖かい熱のこもった馬生賛歌ともいえる寄稿文である。自分は馬生の噺に出てくる人間がキュートで可愛いこと、噺のトーンがしみじみ、ほのぼのと暖かく、包容力があり、胸にしみいるところが大好きなわけであるが、あまり正当に評価されているとは思えず(燻していないし、地味でもない!フレッシュだし、色でいえば温かい薄いオレンジ)、寂しいと思っていたところの末廣席亭の馬生賛歌である。溜飲が下がる思いがした。なお、馬生は周囲の証言からしても、逆境の中、愚痴もたれず、人に対して非常に公平な大人だったようである(奥さんも素晴らしい人であったらしい)。人柄が悪くても、噺がよければそれでよいと思うが、自分の好きな馬生がそのような人であったことを本書で知って、何だか嬉しく思った。馬生に興味のない人には意味のない本だし、もう少し馬生の噺の分析や評価などあってもと思う。ただ、ついでにしか語られることのなかった馬生に寂しい思いをしていたファンにとっては、何ともたまらない一冊である(この本が出たことをつい最近知ったことがファンとして申し訳なく悔やまれる)。

【馬生ベスト】
1 笠碁(もう本当に隅から隅まで大好きである。ダントツ)
2 目黒の秋刀魚(殿様も家来も皆可愛い!)
3 王子の狐(これも楽しい)
4 抜け雀、八五郎出世、二番煎じなど

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