内容紹介
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AIが見つけた似た本
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紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)
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なぜ人を殺すのか。
なぜこうなった。
その答えをずっと探りながらの読書でした。
人は理解できないものに出会ったとき、ひとまず理由づけしたくなる。
でも、読めば読むほど、現実感が遠くなっていった。
どんなに言葉を尽くして描かれていても、ここで起こっていることが理解できない。
こわい。
おぞましい。
信じられない信じたくない。
自分とは別世界のことだと思いたかった。
この人とは違う。
自分は絶対こんな風にはならない。
そう自分に言い聞かせるためだけに、読み進めていったのかも。
でも、理解することを拒否し続けたこれが現実。
どこを見渡しても絶望しかない世の中で、
一応の平穏を保っていられるのは、奇跡だなと思った。
ありとあらゆる絶望やあきらめが、無数の攻撃に形を変えていく毎日。
わたしも一時間後にはトリガー引いちゃってるかもしれない。
これが現実。
世の中がこうなっているのは分かるのに、どうすればいいのか分からない。
日常っていう堤防が、絶望の濁流に押されて決壊するのをただ傍観するしかない。
でも濁流の中で一秒でも長くふんばっていられるように、せめて自分を強く保つしかない…のかも。
というか、それだけが唯一自分を守る方法なのかもしれないと思った。
他人の絶望にまでかまっていられない。
それは寂しいことだけれど。
そんな「現実」を、むりやりまぶたをこじ開けられて凝視させられているような作品でした。
まだ自分の中で消化できない。です。
たぶん一生消化しきれない。
やっと終わった。
今はただそれしか考えられない。
でもきっと、こんな事件が起こるたびに、この小説を思い出すんだと思う。
そして、ここに描かれた「現実」を、噛みしめるように実感させられるんだと思う。