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残像に口紅を (中公文庫)

残像に口紅を (中公文庫)

筒井 康隆

この本の所有者

6人が登録
176回参照
2010年1月15日に更新

書籍情報

ページ数:
337ページ
参照数:
176回
更新日:
2010/01/15

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📊 読書進捗 (ぼんぼんさんの記録)

2010/01/15 337ページまで
2010/01/14 250ページまで
2010/01/13 185ページまで
2010/01/12 140ページまで
2010/01/11 27ページまで

📝 レビュー (ぼんぼんさんのレビュー)

評価:
5/5
レビュー:
世界から言葉がひとつずつ消えていく…という実験小説。
筒井康隆は天才だな。
ああ、この言葉が消えてしまったからこんな会話なんだ、とか、
ここは本来こう描写するものだったんだ、とか、
気づくたびに「あ!そっか~」「そういえばそうやった…」とか
ついつい声に出してしまう、アハ体験的小説でした。
電車の中で読んでて、ちょっとしっぱい…
 
言葉が消失していくたびに、文体が変わるどころか「その人らしさ」まで
崩壊してしまうのには改めてビックリ。
ううん。それだけじゃない。
1語失うたびに、今までそこにいた人やそこにあったものが消えてしまう。
その残像を、まだある言葉の中で必死に形にしようとする。
その様が滑稽でもあり、切なくもありました。
忘れたことさえも忘れてしまったり、
意識しなければ通り過ぎてしまうものにあとから気づいたり、
もう二度と会えなかったり、
でも「そこにあった」という事実が重石みたいに胸にせまったり、
失うことを重ねるたびに、自己の内面に深く潜ったり。
 
最初は「すごい小説だな~」と単純に感心しながら読んでいたのだけれど、
いつのまにか、ちょっと人生をかみしめてました。
  
まさか筒井康隆でマジ泣きするとは思わなかったけど・・。
たった11個の言葉でつづられた散文詩みたいな主人公の人生(たぶん、筒井康隆の自伝的な)も、
ラストの一行も、切なくて泣きました。
どんなに美しい思い出話よりも、
どんなにドラマチックな人生を描いた小説よりも、
消えゆく言葉をかき集めためちゃくちゃなこの文章が、ずっと心に響きました。
 
はぁ。。。せつない。

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