書籍情報
- ページ数:
-
320ページ
- 参照数:
- 248回
- 更新日:
- 2014/07/17
- 所有者:
-
あおみさん
内容紹介

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📊 読書進捗 (あおみさんの記録)
📝 レビュー (あおみさんのレビュー)
彼女の、息子に怯える態度とどこまでも甘やかそうとする弱気な姿勢に苛立ち、彼女が説く支離滅裂で自分勝手な理屈に憤った。
彼女は「殺人事件を起こした者は一生まともに生きられないから、直己を助けてやりたい」というような発言をした。
当然だ。
人を殺したのだから。
人の命を奪うということは、世界を奪うことだと思う。
もし殺されなかったらそれから体験するであろう出会いや楽しみ、悲しみや苦悩といった人生を充実させるあらゆる事象を全てなかったことにすることこそが殺人だと考えるからだ。
人と人は個人の世界を少しずつ交わらすことで繋がり、世界を共有することで親密になる。
直己は、まだ世界の輪郭も完成していないような幼い子の命を奪い、彼女の世界を破壊した。そして彼女と深く交わっていた両親の世界も壊した。
だから罪を償い、裁かれて当然なのだ。
寧ろ、死んでしまえと言いたいほどだ。
母親はそんな息子を庇護し、こんな状況においても安楽な環境にいさせてやろうとした。
腹を痛めて産んだ我が子を何が何でも守りたいという母の気持ちは分からない。分からないが、親ならば我が子を正しい道へと導くべきではないか。子が道を外れた原因には学校環境や友人関係などがあるが、多くは親の躾とこれまでの教育だと思う。
それがあっての性格や気品であり、その性格や気品あっての人間関係だと考える。
直己は正真正銘のクズだ。
ただ、それ以上に母はクズだ。
小説自体の評価に関係のない箇所について長々と書きすぎた。
本書で語られるのは、親子が気を遣い合うという所謂現代的な家族を構成する駄目な親と駄目な子と、子を正そうと自分を殺す親らしい親だ。
昭夫の母がとった行動には憎しみや苦しみがあったが、確かに愛が感じられた。
実母の呆けている演技を見抜くこともできず、それを利用して殺人犯に仕立て上げようとした息子を正そうと、間違っていることを気付かせようとした必死の行動には大きな愛があったのだ。
厳しい環境から出してあげることが愛ではない。敢えて厳しい環境に入れ、そこで頑張れるように励ましたり、叱ることこそが愛なのだ。
そんな愛ある親になりたいと思う。
全体的に内容が薄く、感動的な場面での描写も少ないことから本書の評価はこのようにさせていただく。
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