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📊 読書進捗 (あおみさんの記録)
2013/07/26
344ページまで
📝 レビュー (あおみさんのレビュー)
評価:
4/5
レビュー:
「私は人間である前に怠け者だ。」
この言葉がすごくいい。休日を怠けるために仕事に勤しみ、怠けるためには予定を断固として入れない。そして怠けるということに対してある種の哲学を持っている。
こうした人物こそがこの物語の主人公だ。
この小説は一般的な型作りに囚われていない、と思う。 こういうとヤケに堅苦しく「それではどんな画期的な構成が成されたのか」と思われるかもしれないが、そんなことはない。
ただのんびりと緩やかに話が進んでいくだけだ。それを象徴する主人公の行動を一つ挙げよう。
本書の主人公、小和田君は第一章の中盤に登場し、第三章の冒頭まで寝ている。
まさに驚愕である。
本書の帯に書いてある「こんなに動かない主人公がいただろうか」というコメント通りの感想である。
しかし、ここで物語を盛り上がらせるのが主人公を取り巻く愉快な人物たちである。週末探偵をアルバイトとし、大冒険を夢見ながらも天性の方向音痴によって快挙を目前に逃してきた玉川さん。玉川さんを雇う日本一の怠け者探偵の浦本さん。小和田君の先輩である恩田さんとその彼女である桃木さん。このカップルは休日を全力で満喫することに人生を賭けていると言ってもいいほど、入念に週末の予定を練り行動する。そして小和田君、恩田先輩が勤める研究室の所長。彼はスキンヘッドにサングラスと、誰がどこから見ても怪しい雰囲気を放ち人を寄せ付けようとしないが、実際は丁寧な言葉で話す正義感溢れる男である。そして、ぽんぽこ仮面。京都の平和を守ってきた正義の怪人である。
こうした彼らが縦横無尽に動き、右往左往することによって本書は「小説」として成り立っている。
とにもかくにも愉快であった。
小説はこんなにもゆったりと進行していいのか、と思いつつも頁を捲る手は休まない。
京都に住んでいるからこそ、余計に情景が頭に浮かび「あぁぽんぽこ仮面は今あそこを走っているのか」などと物語に深く入り込めた。
数々の人々の思いが時に共感したり、時には全く異なることから反発したり、それらは主に怠けることに対してなのだが、怠けるための小さな意地の張り合いというのが非常に愉快だった。
正義の味方はとてもしんどいのだろう。
公平に、平等に、誰にでも対応しなくてはならない。厄介な奴にも話の聞けない奴にも難癖をつけてくる奴にも。
そんな奴らにも平等に手を差し伸べてきたぽんぽこ仮面は感服せざるを得ない。だからこそ、彼が追われる身となったときには、心底応援していた。
仮面の下の素顔が判明した後、また冒頭から少し読み返しただけでも物語の深みが一層増した気がした。
次回作がある雰囲気を残しながら、本書は幕を閉じた。
ゆっくりと穏やかに、静かに怠けながら次回作の登場を待つとしよう。
この言葉がすごくいい。休日を怠けるために仕事に勤しみ、怠けるためには予定を断固として入れない。そして怠けるということに対してある種の哲学を持っている。
こうした人物こそがこの物語の主人公だ。
この小説は一般的な型作りに囚われていない、と思う。 こういうとヤケに堅苦しく「それではどんな画期的な構成が成されたのか」と思われるかもしれないが、そんなことはない。
ただのんびりと緩やかに話が進んでいくだけだ。それを象徴する主人公の行動を一つ挙げよう。
本書の主人公、小和田君は第一章の中盤に登場し、第三章の冒頭まで寝ている。
まさに驚愕である。
本書の帯に書いてある「こんなに動かない主人公がいただろうか」というコメント通りの感想である。
しかし、ここで物語を盛り上がらせるのが主人公を取り巻く愉快な人物たちである。週末探偵をアルバイトとし、大冒険を夢見ながらも天性の方向音痴によって快挙を目前に逃してきた玉川さん。玉川さんを雇う日本一の怠け者探偵の浦本さん。小和田君の先輩である恩田さんとその彼女である桃木さん。このカップルは休日を全力で満喫することに人生を賭けていると言ってもいいほど、入念に週末の予定を練り行動する。そして小和田君、恩田先輩が勤める研究室の所長。彼はスキンヘッドにサングラスと、誰がどこから見ても怪しい雰囲気を放ち人を寄せ付けようとしないが、実際は丁寧な言葉で話す正義感溢れる男である。そして、ぽんぽこ仮面。京都の平和を守ってきた正義の怪人である。
こうした彼らが縦横無尽に動き、右往左往することによって本書は「小説」として成り立っている。
とにもかくにも愉快であった。
小説はこんなにもゆったりと進行していいのか、と思いつつも頁を捲る手は休まない。
京都に住んでいるからこそ、余計に情景が頭に浮かび「あぁぽんぽこ仮面は今あそこを走っているのか」などと物語に深く入り込めた。
数々の人々の思いが時に共感したり、時には全く異なることから反発したり、それらは主に怠けることに対してなのだが、怠けるための小さな意地の張り合いというのが非常に愉快だった。
正義の味方はとてもしんどいのだろう。
公平に、平等に、誰にでも対応しなくてはならない。厄介な奴にも話の聞けない奴にも難癖をつけてくる奴にも。
そんな奴らにも平等に手を差し伸べてきたぽんぽこ仮面は感服せざるを得ない。だからこそ、彼が追われる身となったときには、心底応援していた。
仮面の下の素顔が判明した後、また冒頭から少し読み返しただけでも物語の深みが一層増した気がした。
次回作がある雰囲気を残しながら、本書は幕を閉じた。
ゆっくりと穏やかに、静かに怠けながら次回作の登場を待つとしよう。
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