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土の中の子供 (新潮文庫)

土の中の子供 (新潮文庫)

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4人が登録
58回参照
2013年2月21日に更新

書籍情報

ページ数:
160ページ
参照数:
58回
登録日:
2013/02/21
更新日:
2013/02/21

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内容紹介

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。理不尽に引きこまれる被虐体験に、生との健全な距離を見失った「私」は、自身の半生を呪い持てあましながらも、暴力に乱された精神の暗部にかすかな生の核心をさぐる。人間の業と希望を正面から追求し、賞賛を集めた新世代の芥川賞受賞作。著者初の短篇「蜘蛛の声」を併録。
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読書履歴

2013/02/21 160ページ

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土の中から生まれた私は生前のトラウマに引き摺られ、生と死の境界が曖昧になっている様に見えた。
生と死は近い。だから私は自身を死に近付けながら、生命の深淵を覗き込み、自分でも分からない何かになろうとしていたのではないだろうか。
ラストは過去から逃げた様にも見えるが、私が「土の中から生まれた自分」としての人生を歩み始めたとも取れる。
傷は癒える事はなく、この先も私には生き難い人生な事には変わりない。それでも決して暗闇だけではないと思わせるラストでよかった。

「蜘蛛の糸」は同テーマであれ「土の中の子供」とは対照的に逃げ続けた男。
全てから逃げたから、真実も曖昧。
「土の中の子供」の私がもしも何処かの場面で逃げていたならば、結末は「死」だったのだろう。

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