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土の中の子供 (新潮文庫)

土の中の子供 (新潮文庫)

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(4.0)
4人が登録
215回参照
2016年8月7日に更新

書籍情報

ページ数:
160ページ
参照数:
215回
登録日:
2016/07/24
更新日:
2016/08/07

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内容紹介

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。理不尽に引きこまれる被虐体験に、生との健全な距離を見失った「私」は、自身の半生を呪い持てあましながらも、暴力に乱された精神の暗部にかすかな生の核心をさぐる。人間の業と希望を正面から追求し、賞賛を集めた新世代の芥川賞受賞作。著者初の短篇「蜘蛛の声」を併録。
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📝 レビュー (とくこさんのレビュー)

評価:
4/5
レビュー:
過去の凄惨な虐待の経験から時より自分でも理解出来ない衝動に襲われる私。
自分入ってるの死にたいのだろうか?という問いに私は再三否と答える。
私も、私が死にたくて何度も自分を危険に晒している様には思わなかった。
土の中から生まれた私は生前のトラウマに引き摺られ、生と死の境界が曖昧になっている様に見えた。
生と死は近い。だから私は自身を死に近付けながら、生命の深淵を覗き込み、自分でも分からない何かになろうとしていたのではないだろうか。
ラストは過去から逃げた様にも見えるが、私が「土の中から生まれた自分」としての人生を歩み始めたとも取れる。
傷は癒える事はなく、この先も私には生き難い人生な事には変わりない。それでも決して暗闇だけではないと思わせるラストでよかった。

「蜘蛛の糸」は同テーマであれ「土の中の子供」とは対照的に逃げ続けた男。
全てから逃げたから、真実も曖昧。
「土の中の子供」の私がもしも何処かの場面で逃げていたならば、結末は「死」だったのだろう。

読書履歴

2016/08/07 160ページ
2016/08/01 127ページ 月が雲に隠れると、ここは完全な闇になった。闇が私の体を消し去ると、私を覆っている安堵感は、明確な快楽にまで高まることがあった。それは何かに許されたような、守られているような、暖かで、染み入るような感覚だった。それはいつも、どこからともなく、私の上に降りた。
2016/07/31 73ページ 「まあ、救われる気がするんだよ。色々考え込んだり、世界とやっていくのを難しく思ってるのが、自分だけじゃないってことがわかるだけでも」
2016/07/31 64ページ 踏切は一定のリズムで自分を呼び、私は操られたかのように吸い寄せられるのだと思った。悪くなかった。わざと暗示にかかるというのが、何だかとても気が利いているように思えた。
2016/07/29 45ページ 熱がコンクリートに吸収されているのか、空気が冷たかった。
2016/07/24 19ページ 笑う時、彼女の頬にはえくぼができた。まるでその部分だけは彼女の人生の影響を受けなかったかのように、それは子供のようで、彼女に似つかわしくは見えなかった。

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過去の凄惨な虐待の経験から時より自分でも理解出来ない衝動に襲われる私。
自分入ってるの死にたいのだろうか?という問いに私は再三否と答える。
私も、私が死にたくて何度も自分を危険に晒している様には思わなかった。
土の中から生まれた私は生前のトラウマに引き摺られ、生と死の境界が曖昧になっている様に見えた。
生と死は近い。だから私は自身を死に近付けながら、生命の深淵を覗き込み、自分でも分からない何かになろうとしていたのではないだろうか。
ラストは過去から逃げた様にも見えるが、私が「土の中から生まれた自分」としての人生を歩み始めたとも取れる。
傷は癒える事はなく、この先も私には生き難い人生な事には変わりない。それでも決して暗闇だけではないと思わせるラストでよかった。

「蜘蛛の糸」は同テーマであれ「土の中の子供」とは対照的に逃げ続けた男。
全てから逃げたから、真実も曖昧。
「土の中の子供」の私がもしも何処かの場面で逃げていたならば、結末は「死」だったのだろう。

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