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9・11倶楽部 (文春文庫)

9・11倶楽部 (文春文庫)

この本の所有者

(4.0)
1人が登録
311回参照
2011年10月6日に更新

書籍情報

ページ数:
591ページ
参照数:
311回
登録日:
2011/09/30
更新日:
2011/10/06
所有者:
mak246 mak246さん

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内容紹介

救急救命士の織田は、路上で倒れていた少女・笑加を助けるが、彼女は十代前半の少年たちと暮らしていた。実は彼らは、都知事による新宿浄化作戦で両親を中国に強制送還された、戸籍のない子供たちだった。事情を知った織田は、理不尽な現実と社会に復讐するため、彼らとともに無謀な行動を起こし始める。
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📝 レビュー (mak246さんのレビュー)

評価:
4/5
レビュー:
久々に馳作品を読んだが、既読作品ほどディープな感じはしなかったものの舞台が新宿でアジア系の裏社会を取り扱ってる部分では、馳ワールドとしての構成要素はしっかりと踏襲されている。まぁ、今までに比べると主人公のドス黒さは薄れているが。。。 
そして、地下鉄サリン事件や歌舞伎町浄化計画、更にタイトルにもなってる9・11などの実社会での事件、背景を元にテロ行為によって生ずる歪や行政に対する皮肉を描いたような作品に仕上がってる感じかと。。。。 

展開的にはテロによって妻子を亡くした主人公 織田の哀しみ、考え方は十分に伝わってきて共感できる部分は多い。それ故に感情移入はしやすいのだが、彼の取る行動自体には若干の不可解さが残った。
それは、偶然出会った少年たちの生い立ち等を理解した上での織田本人の選択だったとはいえ、それまでの織田の生き様からして他の母娘を犠牲にしたり、犯罪に手を下してしまうまでがあまりにも安易すぎるからではないだろうか… 
確かに、その後の葛藤やら心情の変化などは描かれていたものの、少年たちがこの国で生き抜く手段としての犯罪と違って、あまりにも軽々しく映ってしまったのも事実。 最終着地点が少年たちと相対的に贅を尽くした象徴である都庁の破壊であったとしても、織田がそれに協力・賛同していくまでの重みというかプロセスはもう少し丁寧でも良かったのでは??

とは言え、テロによって1人の人間が抱える哀しみ・苦しみ、そして行政の強大な力によって得られる安泰の犠牲となった弱者たちが、それでもしたたかに生き抜いていく様を描いたエンターテイメントとしては、最初から最後まで疾走感を失わずに楽しめる作品だった。 
ラストも印象的だったしで… 

読書履歴

2011/10/06 591ページ
2011/10/05 463ページ
2011/10/04 341ページ
2011/10/01 222ページ
2011/09/30 134ページ

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久々に馳作品を読んだが、既読作品ほどディープな感じはしなかったものの舞台が新宿でアジア系の裏社会を取り扱ってる部分では、馳ワールドとしての構成要素はしっかりと踏襲されている。まぁ、今までに比べると主人公のドス黒さは薄れているが。。。 
そして、地下鉄サリン事件や歌舞伎町浄化計画、更にタイトルにもなってる9・11などの実社会での事件、背景を元にテロ行為によって生ずる歪や行政に対する皮肉を描いたような作品に仕上がってる感じかと。。。。 

展開的にはテロによって妻子を亡くした主人公 織田の哀しみ、考え方は十分に伝わってきて共感できる部分は多い。それ故に感情移入はしやすいのだが、彼の取る行動自体には若干の不可解さが残った。
それは、偶然出会った少年たちの生い立ち等を理解した上での織田本人の選択だったとはいえ、それまでの織田の生き様からして他の母娘を犠牲にしたり、犯罪に手を下してしまうまでがあまりにも安易すぎるからではないだろうか… 
確かに、その後の葛藤やら心情の変化などは描かれていたものの、少年たちがこの国で生き抜く手段としての犯罪と違って、あまりにも軽々しく映ってしまったのも事実。 最終着地点が少年たちと相対的に贅を尽くした象徴である都庁の破壊であったとしても、織田がそれに協力・賛同していくまでの重みというかプロセスはもう少し丁寧でも良かったのでは??

とは言え、テロによって1人の人間が抱える哀しみ・苦しみ、そして行政の強大な力によって得られる安泰の犠牲となった弱者たちが、それでもしたたかに生き抜いていく様を描いたエンターテイメントとしては、最初から最後まで疾走感を失わずに楽しめる作品だった。 
ラストも印象的だったしで… 

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