
何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)
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内容紹介

📝 レビュー (あおみさんのレビュー)
決して、物語が斬新なわけでもなく、またミステリー小説でないため見たこともないトリックが介在することもないのだが、人物描写がえげつない。(敢えてこうした表現にさせてもらう。)
彼らの生き方、考え、言葉がいちいち心に刺さり、ページを捲る手が止められない。
一度も経験したことのない世界なのだが、そこには確かにリアリティがあり、読者が存在している。いや、存在していたいと思わせるのだ。
主人公「僕」の恩師曰く『現在というのは、どんな過去にも勝る。生き物の連続である何億年の線という途方もない奇跡の連続は、全て今のお前のためだけにあった、と考えてもいい」
主人公曰く「人間と、その人間の命は別のように思う」
ぼやけていた個人の存在の必要性に光を照らす言葉。
常々、存在する意味について首を傾げ、死ぬことも生きることもできていない私に向けられた言葉。
途方もなく大きな何かに優しく、暖かく抱きしめられたような安心感。
自然と涙が浮かぶ、安心感。
私は今後、何度も本書を読むことになるだろう。その時は心が折れそうな時に支えてもらうためでなく、素晴らしい作品がここにあるということを確かめるために。
読書履歴
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