何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)
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生と死について考えさせられる内容でした。刑執行の所の下りは読んでてドキドキしてしまいました。
正確には4つ星半かな
仄暗い描写と微かな明るさがある不思議な雰囲気のある本だと思います。
最後がよくわからなかったです。
世の中における自己の存在に対して一度でも疑問を抱いた者にとって、本書は救いに成り得ると感じた。
決して、物語が斬新なわけでもなく、またミステリー小説でないため見たこともないトリックが介在することもないのだが、人物描写がえげつない。(敢えてこうした表現にさせてもらう。)
彼らの生き方、考え、言葉がいちいち心に刺さり、ページを捲る手が止められない。
一度も経験したことのない世界なのだが、そこには確かにリアリティがあり、読者が存在している。いや、存在していたいと思わせるのだ。
主人公「僕」の恩師曰く『現在というのは、どんな過去にも勝る。生き物の連続である何億年の線という途方もない奇跡の連続は、全て今のお前のためだけにあった、と考えてもいい」
主人公曰く「人間と、その人間の命は別のように思う」
ぼやけていた個人の存在の必要性に光を照らす言葉。
常々、存在する意味について首を傾げ、死ぬことも生きることもできていない私に向けられた言葉。
途方もなく大きな何かに優しく、暖かく抱きしめられたような安心感。
自然と涙が浮かぶ、安心感。
私は今後、何度も本書を読むことになるだろう。その時は心が折れそうな時に支えてもらうためでなく、素晴らしい作品がここにあるということを確かめるために。
施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した一週間後に控訴期限が切れれば死刑が確定する二十歳の未決囚・山井を担当している。「現在というのはどんな過去にも勝る。アメーバとお前を繋ぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という途方もない奇跡の連続はいいか?全て今のお前のためだけにあったと考えていいい。」と恩師の施設長に言われた僕は山井には「俺が言いたいのは、お前は今、ここに確かにいるってことだよ。それならお前はもっと色んなことを知るべきだ。命は使うもんなんだ。」と。。わたしでもがつんときて勇気をもらった。もやもやゆらいでいる若い人は読むべき本だと思った。