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長城のかげ

長城のかげ

宮城谷 昌光

この本の所有者

2人が登録
61回参照
2013年9月2日に更新

書籍情報

ページ数:
272ページ
参照数:
61回
登録日:
2013/09/01
更新日:
2013/09/02
所有者:
ichiteni ichiteniさん

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📝 レビュー (ichiteniさんのレビュー)

評価:
5/5
レビュー:
やっぱり宮城谷先生の作品が好きだ!

1996年5月15日第1刷作品。

学生の頃に読みたいなぁと思っていて読まずにきた本書。

史記、項羽と劉邦の物語。
その周辺に登場する人物達を主人公とする短編5編からなる本書。
単なる勧善懲悪ではないミニシアター映画のような趣きで紡がれる物語群。
史記の世界が様々な人々の人生によって脇を補強され厚みを増していく。

1.逃げる
項羽軍の将 季布(きふ)の物語。
四面楚歌の場面から始まり、垓下からの逃避行と後日譚が描かれる。

2.長城のかげ
劉邦の“陰(かげ)”として生きてきた男、劉邦と誕生日を同じくして腹心である盧綰(ろわん)の物語。
陽(よう)たる劉邦との特別な関係、漢軍の勝利後燕王に封ぜられ、その最期までが描かれる。

3.石径の果て
秦帝国が崩壊を始めた頃、黥布の軍から沛公劉邦の軍に鞍替えした儒者 陸賈(りくか)の物語。
一介の儒学生から、武力でも兵法でもなく機転の利いた交渉術で漢軍に多大な戦果をもたらす重臣となってゆくサクセスストーリーが描かれる。

4.風の消長
劉邦と曹氏との間に生まれた長男 肥(ひ)の物語。
劉邦視点の物語も少々混ざる。
漢帝国樹立後は斉王に封ぜられる事になる肥の、子としての感情の遷移がその最期まで描かれる。

5.満点の星
在野の儒学者から秦帝国、楚軍、漢軍、漢帝国へと時の権力掌握者の下で仕える事となった叔孫通(しゅくそんとう)の物語。
多くの門弟を抱えつつも、戦乱の世の中で一人も落命させることなく生き延びた、良い意味での世渡りが描かれる。


読書履歴

2013/09/02 272ページ

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