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若きウェルテルの悩み (岩波文庫)

若きウェルテルの悩み (岩波文庫)

ゲーテ

この本の所有者

9人が登録
65回参照
2014年4月17日に更新

書籍情報

著者:
ゲーテ
ページ数:
213ページ
参照数:
65回
登録日:
2012/11/16
更新日:
2014/04/17

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内容紹介

親友のいいなずけロッテに対するウェルテルのひたむきな愛とその破局を描いたこの書簡体小説には、ゲーテ(1749‐1832)が味わった若き日の情感と陶酔、不安と絶望が類いまれな抒情の言葉をもって吐露されている。晩年、詩人は「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」と語った。
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📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
4/5
レビュー:
痛烈で、悲惨で、崇高で、衝撃で、幸福で、奨励的で、希望的で、絶望的な物語だった。
私の愚かな語彙力ではここまでしか言い表せられない。
しかし、本書にはもっともっと悲しさや幸せ、苦悩が詰まっている。
一人の女性に心酔したある崇高な男性、それがウェルテルだ。
彼は若い。恋愛に悩み、苦しみ、傷つき、これらは若さ故の過ちだ。いや、過ちという言葉は的確でない。
若さ故の当然の感情なのだ。
誰しもが身を悶えさせるような、心臓を引き抜かれるような、血が歓喜しているような、幸福と苦悩を味わったことだろう。
ただ、そのどうしようもない感情は「死」に繋がらなかった。ウェルテルは恋愛と死の間の経路が生まれながらにして、神によって既に敷かれていた。ただそれだけなのだ。
つまり、誰にでも「死」の機会はあった。
それを理解する勇気や、そこに踏み出す心構えが足りなかっただけ。ただそれだけなのだ。

本書を悪評する者は、本書を自殺を推奨、または賞賛していると述べる。
しかし、私は本書のテーマはそこにあるのではない、と考える。
恋愛の苦悩故の自殺など、ただの結果に過ぎない。なぜなら、誰しもに機会はあった訳だし、見渡せば今日も誰かが自殺しているからだ。
主題はそこではない。
本書の主題は、「普遍的であり、また特別的な恋愛」にある、と思うのだ。
恋愛の一つや二つなど誰もが経験し、そして誰もがその辛さと悦びを経験してきた。
したがって主題は「恋愛の苦悩」ではないのだ。
私が述べたいのは、恋愛とは当然、誰もが経験するものでありながら、誰にとっても特別で周囲の干渉を一切許さない、ということなのだ。
本書の主人公がウェルテルだったから、あのような結果になったのではなく、恐らく恋愛の苦悩故の自殺者など、探せばごまんといるだろう。年間自殺者三万人超の現代にとって、そんな理由など珍しくない。
しかし、本書に描かれた考え方や行動はウェルテルだけのものだ。もちろん、ロッテの思慮も、アルベルトの言動も。
その結果に、ウェルテルの自殺が用意されていた。ただそれだけなのだ。

万人への共通性と個人への特別性を持ち合わせたこの物語を、私は大切にしたいと思う。

読書履歴

2014/04/17 213ページ

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