
📝 レビュー (mak246さんのレビュー)
物語は20年の事件の真相を巡って進行していくが、最後までなかなか真犯人が絞れず、淡々と物語が進む割には飽きさせることのない展開になっていた。その意味ではまぁまぁ面白かったのだが、最近読んだ堂場作品の中では少々消化不良だったかもしれない。
その要因を考えてみると、様々な要素が絡み合っている割にそれぞれが深堀りされていなかった事にあったんじゃないだろうか。。
例えば、幼女暴行を憎むとはいえ先輩刑事である脇坂が20年前にあそこまで執拗に庄司を追い詰めた原因がイマイチ不明。
犯人が分かった後で見返しても所々の節の終わりに書かれた犯人の独白の意味が分からない。
このストーリー展開で伊達と庄司が友人だったって設定って活かされてる??とか。。
野心に駆られた有田は己の未熟さを感じただけで幕切れ??とかとか。。
…桑原なんかは結末も含めてそれなりに丁寧に描かれていたように思えるのだけど、比較的ストーリーが事件だけを追ってしまっていてその他の要素が希薄で説得力に欠けたように感じられた。最後の伊達夫婦のエピローグだって取って付けた感が否めないし、このエピローグを描くために伊達の私生活がちょこまか出てきたようにしか思えないしで。。。
ま、希望を言えばこれが架空の都市を舞台にしたシリーズ物の第一作なので、まだ人物紹介の障りだけだったのかもしれない。
次作以降の展開で今回の消化不足が解消されるコトに期待しよう!!
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