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SOSの猿

SOSの猿

伊坂 幸太郎

この本の所有者

37人が登録
80回参照
2012年9月29日に更新

書籍情報

ページ数:
292ページ
参照数:
80回
更新日:
2012/09/29

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📊 読書進捗 (あおみさんの記録)

2012/09/29 292ページまで

📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
4/5
レビュー:
作中で五十嵐真が話すコンステレーションという言葉が本作に相応しい。一見何の変哲もない出来事の集まりを、時に俯瞰してみればそれらが意味を成していて一つの大きな結末を迎えるための布石であった、という意味だ。株の誤発注は原因の原因を探れば殺人、虐待事件の犯人を見つけ出したり、NASAの衛生打ち上げミスは睡眠不足が原因であったり、と物語は常に繋がって続いている。
本書でも伊坂幸太郎お得意の、語り手を変える手法が取られている。前半は「私の話(遠藤二郎、悪魔祓い)」と「猿の話(孫悟空が憑依したという眞人の話)」だったが、猿の話が幕を閉じたかと思うと「五十嵐真の話」が始まる。この話が始まってやっと猿の話が眞人の夢物語であることが分かり、ちらほらではあるが現実の出来事との重なり、類似点も発見できる。ここからが本書の面白いところである。したがってここまで辿り着くのに、少しイメージし難い、例えば突然部長が牛魔王に変身したりだとか、孫悟空が現れ獣臭い息を吐きながらこれからのアドバイスをしたりだとか、そういった場面が度々現れる。もし、根気の弱い、もしくはファンタジー要素が苦手な読者であればこの時点で読むのをやめてしまうのかもしれない。しかし、コンステレーションである。この寓話があってこその結末の楽しさ、愉快さ。謎解きとはまた異なる、「なるほど」という新鮮な気持ちが胸中を満たす。
是非、一読して欲しいと思う。
バロンダンス。人の心には善と悪が共存していて、常に綱引きをして闘っている。

なお、本作は漫画『SARU/五十嵐大介著』と対をなす作品である。なので、これからそちらも読んで見たい。もしかしたらそうすることで本書『SOSの猿』に対する評価も変わるかもしれない。

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