
みんなの評価
レビュー

本書でも伊坂幸太郎お得意の、語り手を変える手法が取られている。前半は「私の話(遠藤二郎、悪魔祓い)」と「猿の話(孫悟空が憑依したという眞人の話)」だったが、猿の話が幕を閉じたかと思うと「五十嵐真の話」が始まる。この話が始まってやっと猿の話が眞人の夢物語であることが分かり、ちらほらではあるが現実の出来事との重なり、類似点も発見できる。ここからが本書の面白いところである。したがってここまで辿り着くのに、少しイメージし難い、例えば突然部長が牛魔王に変身したりだとか、孫悟空が現れ獣臭い息を吐きながらこれからのアドバイスをしたりだとか、そういった場面が度々現れる。もし、根気の弱い、もしくはファンタジー要素が苦手な読者であればこの時点で読むのをやめてしまうのかもしれない。しかし、コンステレーションである。この寓話があってこその結末の楽しさ、愉快さ。謎解きとはまた異なる、「なるほど」という新鮮な気持ちが胸中を満たす。
是非、一読して欲しいと思う。
バロンダンス。人の心には善と悪が共存していて、常に綱引きをして闘っている。
なお、本作は漫画『SARU/五十嵐大介著』と対をなす作品である。なので、これからそちらも読んで見たい。もしかしたらそうすることで本書『SOSの猿』に対する評価も変わるかもしれない。
この本を読んでいる人(37人)

こさかいじゅん

musicshore
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ラウール
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karua222
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