
幕が上がる (講談社文庫)
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2015年4月4日に更新
📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)
レビュー:
不覚にも心が動いてしまった。ももクロ映画原作だし、部活動のリアルな豆知識、類型的なキャラクター、恋愛・進路といった要素を盛り込めば、売れ行き鉄板の部活小説。と、あなどっていたのだが。流石、平田オリザ、としかいいようがない。
ワークショップの練習、高校演劇の独自な世界などの描写はリアルだし、さえない地方の高校生が高校演劇にのめり込んでいく様には、演劇の魅力の一端が確実に描写されている。どこまでも行けそうな気がしつつも、何ものになれるのかわからない、思春期ならではの不安が、演出担当の主人公の「銀河鉄道の夜」の翻案脚本作成・演出過程で自覚化されていくところも、ほろっとくる。そして、主人公達の指導者でありながら最後は主人公達を見捨て女優としての道を選び取る顧問吉岡先生のキャラクターと設定がよい。
本書は平田オリザのエンタメ小説の枠組みを借りた余技・実験のようなものにすぎないのかもしれないが、その根底に平田オリザの演劇に対する熱・実感があるからこそ、胸を打つものがあると思う。その意味でそのへんのお手軽部活小説・お仕事小説(「ハケンアニメ」とか?)とは一線を画すると思う。
ワークショップの練習、高校演劇の独自な世界などの描写はリアルだし、さえない地方の高校生が高校演劇にのめり込んでいく様には、演劇の魅力の一端が確実に描写されている。どこまでも行けそうな気がしつつも、何ものになれるのかわからない、思春期ならではの不安が、演出担当の主人公の「銀河鉄道の夜」の翻案脚本作成・演出過程で自覚化されていくところも、ほろっとくる。そして、主人公達の指導者でありながら最後は主人公達を見捨て女優としての道を選び取る顧問吉岡先生のキャラクターと設定がよい。
本書は平田オリザのエンタメ小説の枠組みを借りた余技・実験のようなものにすぎないのかもしれないが、その根底に平田オリザの演劇に対する熱・実感があるからこそ、胸を打つものがあると思う。その意味でそのへんのお手軽部活小説・お仕事小説(「ハケンアニメ」とか?)とは一線を画すると思う。
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