
読書履歴
AIが見つけた似た本
「幕が上がる (講談社文庫)」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました
川の深さは (講談社文庫)
福井 晴敏
「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた...
奪取〈上〉 (講談社文庫)
真保 裕一
一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫っ...
失敗学のすすめ (講談社文庫)
畑村 洋太郎
恥や減点の対象ではなく、肯定的に利用することが、失敗を生かすコツ。個人の成長も組織の発展も、失敗とのつきあい方で大きく違う。さらに新たな創造のヒントになり、大きな事故を未然に防ぐ方法も示される―。「失...
クラインの壺 (講談社文庫)
岡嶋 二人
200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーと...

不覚にも心が動いてしまった。ももクロ映画原作だし、部活動のリアルな豆知識、類型的なキャラクター、恋愛・進路といった要素を盛り込めば、売れ行き鉄板の部活小説。と、あなどっていたのだが。流石、平田オリザ、としかいいようがない。
ワークショップの練習、高校演劇の独自な世界などの描写はリアルだし、さえない地方の高校生が高校演劇にのめり込んでいく様には、演劇の魅力の一端が確実に描写されている。どこまでも行けそうな気がしつつも、何ものになれるのかわからない、思春期ならではの不安が、演出担当の主人公の「銀河鉄道の夜」の翻案脚本作成・演出過程で自覚化されていくところも、ほろっとくる。そして、主人公達の指導者でありながら最後は主人公達を見捨て女優としての道を選び取る顧問吉岡先生のキャラクターと設定がよい。
本書は平田オリザのエンタメ小説の枠組みを借りた余技・実験のようなものにすぎないのかもしれないが、その根底に平田オリザの演劇に対する熱・実感があるからこそ、胸を打つものがあると思う。その意味でそのへんのお手軽部活小説・お仕事小説(「ハケンアニメ」とか?)とは一線を画すると思う。