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沖で待つ (文春文庫)

沖で待つ (文春文庫)

絲山 秋子

この本の所有者

7人が登録
78回参照
2013年6月29日に更新

書籍情報

ページ数:
184ページ
参照数:
78回
登録日:
2013/06/29
更新日:
2013/06/29

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📝 レビュー (とくこさんのレビュー)

評価:
3/5
レビュー:
文体がすごくシンプルで、骨に適度な肉をつけた感じ。
多くもないけど少なくもない。必要な分の描写だけ書かれているからすぐ読み終わる。

「勤労感謝の日」は毒がたっぷり。
でもどん底なのにどこかすっとする感じで、さらにシンプルな文体がくどさを感じさせなくて絶妙だった。
居酒屋の店主がいい味出しててラストがすき。

「沖で待つ」はどこか爽やか。
解説でも書かれているけれど、勤労感謝の日が仕事に対する嫌な面を書いたのに対してこちらは綺麗な面を。
主人公の回想語りで淡々と、テンポよく話が進んでいく訳だけれども、この淡々とした語りが逆に泣かせられた。いや、泣かなかったけど。
間接的でそこには太っちゃんの死という事実しか存在しないのに妙にリアルで約束を果たす場面では苦しくなってしまった。
ラストは太っちゃんは最後まで太っちゃんで愛嬌があり、さっぱり爽やか。
仕事って、同期って、いいかもしれないと一瞬思わせる。職場で繋がる絆が少し羨ましいと感じる。
そして副島さんが…副島さんがすきです。なんだあの情に厚い素敵先輩は。
主人公とくっつけばいいんだ。

会社員小説の授業で使うというだけあって両方とも会社、仕事が色濃くてわからない用語とかも出てくるのだけど絲山さんがうまくわからなくても気にならない書き方をされている。
でもわかった方がもっと深く読めるんだろうな。女性総合職とか男女雇用均等方(だっけ…)とか私には現代社会の授業だわ。
その辺の背景は授業でやって理解を深めていくのが楽しみ、かな。

「みなみのしま~」は…なんで収録したんだろう。
つまらない訳ではなかったけど。
子供向けの体裁取ってる割に随所で政治批判みたいなことしてるし、けど変な所で子供向けっぽいし…全文ひらがなでも結構読みやすかったのはすごいと思ったけど。

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