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99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

岡嶋 二人

この本の所有者

18人が登録
79回参照
2014年2月22日に更新

書籍情報

ページ数:
448ページ
参照数:
79回
登録日:
2012/09/27
更新日:
2014/02/22

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内容紹介

末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。
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📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
2/5
レビュー:
正直に述べて、期待外れだった。
本書が刊行された時代を考えれば、このトリックは画期的で斬新だったのかもしれないが、現代においてのそれは、さほど革新的でもなければ、目新しくもない。
それに、何もかもがうまくいきすぎだ。
それ故に、読者はただ完全犯罪の計画書のようなものを読まされているような感覚に陥る。
これだけ計画が全て達成されれば、当然の結果が最後にある。それは自然の摂理だ。
なぜなら、望む結果を手に入れるべく計画を練るのだから。
その計画を実行する際に、一波乱二波乱があるからこそ、小説は非現実で面白いのだ。

それに、主人公の心情や行動を多分に描くせいで、他の登場人物の過去や想いの重みが薄れている。
主人公視点のみで描くならそうしたらいいし、交互に記すならそうすればいいのに、それが中途半端だから、真犯人に気付く場面に違和感がある。
そのタイミングで気付けるのなら、もっと早く気付けるはずだ、と。

結末も気に食わない。
間宮はどうやって慎吾を融解したのか。
あれほど憎んでいた誘拐犯をなぜ、思い出話を聞いただけで許せるのか。
自分が間違っていることを承知の上で、計画に臨んでいたのではなかったのか。
疑問点、不可解点が様々な箇所にある。

これまで批判的な意見を述べてきたが、賞賛するべき点は確かにある。
それは著者の「読ませる力」だ。
しかし、言ってしまえばそれだけだった。

第一章が非常に良く、以降の展開に対する期待が充分に抱けたからこそ、拍子抜けしたのかもしれない。
誘拐ものを描いたら右に出るものはいないと言われる程で、「人攫いの岡本」と評される著者の実力を、是非違う作品で味わいたいものだ。

読書履歴

2014/02/22 448ページ

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