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99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

岡嶋 二人

3.6
18人が登録
4件のレビュー

みんなの評価

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レビュー

m@i
m@i
2013年3月読了
末期ガンに侵された父親の手記から始まる。
誘拐された経験を持つ研究員が、真相を知り、その知識を生かして誘拐を決行。
ゲーム的要素をふんだんに盛り込んだ作品。
しんねね
しんねね
2012年2月読了
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。
しめじ
しめじ
2012年5月読了
緊迫感と、スピード感を感じた。20年後の事件に対して、亡くなった生駒(父)が生きていたとすればどのように感じていただろうか、作者はどう考えながら綴ったのか感心深く感じた。
あおみ
あおみ
2014年2月読了
正直に述べて、期待外れだった。
本書が刊行された時代を考えれば、このトリックは画期的で斬新だったのかもしれないが、現代においてのそれは、さほど革新的でもなければ、目新しくもない。
それに、何もかもがうまくいきすぎだ。
それ故に、読者はただ完全犯罪の計画書のようなものを読まされているような感覚に陥る。
これだけ計画が全て達成されれば、当然の結果が最後にある。それは自然の摂理だ。
なぜなら、望む結果を手に入れるべく計画を練るのだから。
その計画を実行する際に、一波乱二波乱があるからこそ、小説は非現実で面白いのだ。

それに、主人公の心情や行動を多分に描くせいで、他の登場人物の過去や想いの重みが薄れている。
主人公視点のみで描くならそうしたらいいし、交互に記すならそうすればいいのに、それが中途半端だから、真犯人に気付く場面に違和感がある。
そのタイミングで気付けるのなら、もっと早く気付けるはずだ、と。

結末も気に食わない。
間宮はどうやって慎吾を融解したのか。
あれほど憎んでいた誘拐犯をなぜ、思い出話を聞いただけで許せるのか。
自分が間違っていることを承知の上で、計画に臨んでいたのではなかったのか。
疑問点、不可解点が様々な箇所にある。

これまで批判的な意見を述べてきたが、賞賛するべき点は確かにある。
それは著者の「読ませる力」だ。
しかし、言ってしまえばそれだけだった。

第一章が非常に良く、以降の展開に対する期待が充分に抱けたからこそ、拍子抜けしたのかもしれない。
誘拐ものを描いたら右に出るものはいないと言われる程で、「人攫いの岡本」と評される著者の実力を、是非違う作品で味わいたいものだ。

読書ステータス

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