この本について
「昭和」という時代が匂い立つ社会派ミステリーの傑作!平成2年12月、警視庁にもたらされた一本のタレ込み情報。15年前に自殺として処理された女性教師の墜落死は、実は殺人事件だった―しかも犯人は、教え子の男子高校生3人だという。時効まで24時間。事件解明に総力を挙げる捜査陣は、女性教師の死と絡み合う15年前の「ルパン作戦」に遡っていく。「ルパン作戦」―3人のツッパリ高校生が決行した破天荒な期末テスト奪取計画には、時を超えた驚愕の結末が待っていた...。昭和の日本を震撼させた「三億円事件」までをも取り込んだ複眼的ミステリーは、まさに横山秀夫の原点。人気絶頂の著者がデビュー前に書いた“幻の処女作”が、15年の時を経て、ついにベールを脱いだ。第9回サントリーミステリー大賞佳作。
みんなの評価
4
5
4
3
2
1
レビュー
初版刊行直後に読んで以来、約3年ぶりの再読だったのですが、大筋以外の細かい部分をほとんど忘れてしまっていた事もあってか、のめりこんで読めました。泣いた!!
ずっと相馬兄妹を描いたある一場面が強烈に記憶に残っていて、再読にかかってみて「あれ?この兄妹ってこんなにちょい役だったっけ?!なんでこんなに印象に残ってたんだ?!」とモヤモヤしていたのですが、その謎も読み終わって納得。清々しさと苦さがない交ぜになったこの感情、そういえば初めて読んだときも味わったな、と思い出しました。
あと、喜多じゃないけど読みながら閃光のようにぴかっとなにかが閃きそうな、つかめそうな思い出せそうなそんな一瞬がところどころにあったのですが、それがことごとく伏線だったと気づいてびっくり。覚えてた以上に緻密で計算された物語でした。
15年前のテスト強奪計画、女教師の殺人事件、仲間の死。
時効間際に真相が分かったとき、その夜のできごとはすべての登場人物にとって一種の通過儀礼だったのかなぁと思いました。大人になるための通過儀礼。それぞれが別の場所で人生を歩んでいくための通過儀礼。あまりにも過酷なのですが。
どんなに大きな事件でもいつかは風化してしまうものだけれど、当事者たちがそれぞれ一人きりになってたどった時間の重みを感じました。
そんな中で、それぞれがどうしても守らなくてはならないものを抱えて生きていて、その守るべきものが事件を難解にし、また事件を解決するきっかけになったというのは、これもまた人生なのかなぁ。
切ないような、懐かしいような、苦いような。とにかく泣けました。
最近の横山作品は、とかく組織!組織!組織!みたいな感じで、社会人経験に乏しいぺーぺーの私には少しとっつきにくい部分もあるのですが、たまにはこういうテイストの作品も読みたいなぁと思いました。
ずっと相馬兄妹を描いたある一場面が強烈に記憶に残っていて、再読にかかってみて「あれ?この兄妹ってこんなにちょい役だったっけ?!なんでこんなに印象に残ってたんだ?!」とモヤモヤしていたのですが、その謎も読み終わって納得。清々しさと苦さがない交ぜになったこの感情、そういえば初めて読んだときも味わったな、と思い出しました。
あと、喜多じゃないけど読みながら閃光のようにぴかっとなにかが閃きそうな、つかめそうな思い出せそうなそんな一瞬がところどころにあったのですが、それがことごとく伏線だったと気づいてびっくり。覚えてた以上に緻密で計算された物語でした。
15年前のテスト強奪計画、女教師の殺人事件、仲間の死。
時効間際に真相が分かったとき、その夜のできごとはすべての登場人物にとって一種の通過儀礼だったのかなぁと思いました。大人になるための通過儀礼。それぞれが別の場所で人生を歩んでいくための通過儀礼。あまりにも過酷なのですが。
どんなに大きな事件でもいつかは風化してしまうものだけれど、当事者たちがそれぞれ一人きりになってたどった時間の重みを感じました。
そんな中で、それぞれがどうしても守らなくてはならないものを抱えて生きていて、その守るべきものが事件を難解にし、また事件を解決するきっかけになったというのは、これもまた人生なのかなぁ。
切ないような、懐かしいような、苦いような。とにかく泣けました。
最近の横山作品は、とかく組織!組織!組織!みたいな感じで、社会人経験に乏しいぺーぺーの私には少しとっつきにくい部分もあるのですが、たまにはこういうテイストの作品も読みたいなぁと思いました。
読書ステータス
読了
8人