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羊と鋼の森

羊と鋼の森

宮下 奈都

3.7
18人が登録
2件のレビュー

みんなの評価

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レビュー

zooko012
zooko012 2016年5月読了
本屋大賞受賞ということで偏見により敬遠(?)していた本書である。友人に薦められて手に取ったが、良書。

調律師になった男の子が主人公である。先輩達・お客さんとの関わりの中で調律師として成長していく。音の森から音を拾い出し世界を作るということ。ピアニストをあきらめ、ピアニストを支えるということ。ピアノを生活の楽しみとしている人達を支えるということ。下手な恋愛模様など盛り込まず、ひたすら、音を創るということ、ピアノ、ピアノを巡る人達について、調律の矜持について、丁寧に繊細に書いていくところが、とてもとてもよく、心にじんわりと染み入る。

男の子が目指す音として、原民喜の文章を引用しながら、「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のように確かな文体」をあげる。そのような読後感のある小説である。同じ印象を受ける「パリ左岸のピアノ工房」(これも良書)を改めて読み直してみたくなった。
yuchan
yuchan
2016年7月読了
主人公の純朴さ、コツコツと成長していく様子が、美しい情景の描写によって北海道の森の風景を呼び起こし、木漏れ日の光、木々のざわめきなどが浮かんできて懐かしい温かい気持ちになった。「才能があるから生きていくんじゃない、そんなもの、あったって、なくたって生きていくんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。」手探りでこれでいいのかと戸惑いながら一歩ずつ確信に変えて歩もうとしていた青春時代を思い出した。音楽をわからないわたしは半分も理解できなかったかもしれないが、そんなことも許してもらえそうな本でした。

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