この本について
アパートの一室での毒殺、黄色の部屋の密室トリック―素人探偵・奈々村久生と婚約者・牟礼田俊夫らが推理を重ねる。誕生石の色、五色の不動尊、薔薇、内外の探偵小説など、蘊蓄も披露、巧みに仕掛けたワナと見事に構成された「ワンダランド」に、中井英夫の「反推理小説」の真髄を見る究極のミステリー。
みんなの評価
4.5
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4
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2
1
レビュー

よーぐると
2013年1月読了
日本探偵小説三大奇書の一つ。とはいえ「奇書」と言われるような読みにくさはなく、どんどん読み進められた。この本が三大奇書として名を馳せているのは、あらゆる場所で語られるように、「アンチミステリ」の精神だろう。事件と連なって発生した大火事やその他悪意の感じられる事件。全ては事故なのに探偵が存在するがゆえに事件として捉えられる。探偵の存在が事件を誇張させていく様に感じさせるこの主張ははミステリに対して挑戦的で懐疑的だ。それでありながら推理小説としての素晴らしさを併せ持っているからこその三大書なのだろう。奇書であるとは僕は感じなかった、この点はいろんな人の意見を聞き議論したい。
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