誕生日の子どもたち (文春文庫)
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内容紹介
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📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)
村上春樹は、小説やエッセイで青春期のことは書くが、幼年・少年期のことは書かない。カポーティのこの幼年・少年ものには、村上春樹がもし幼年・少年を書いていたらこんな男の子になっただろう、という男の子が出てくる。そして、その後の長い人生で大きく意味を持つことになった瞬間というか、人生において大事なことを知った瞬間というかを鮮やかに切り取っていて、語り口とともに、もうなんというか、春樹ファンには堪らない。
特に、男の子が、同居の仲良しのおばあさん(ホントは従姉妹)から、「残酷さ」(ずるさ、卑怯)ということはどういうことなのかを教えられることになる「感謝祭の客」。郷愁に伴う甘さ・切なさと共に苦み、重みがあって、胸に染み入る(ちょっと、春樹の短編「沈黙」の要素もある)。
「無頭の鷹」は、自分の理解の範疇を超えた難解な作品であるが、痛くて、錯乱していて、儚くて、煌びやかで、カポーティ天才!ということだけはよくわかる。
読書履歴
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村上春樹は、小説やエッセイで青春期のことは書くが、幼年・少年期のことは書かない。カポーティのこの幼年・少年ものには、村上春樹がもし幼年・少年を書いていたらこんな男の子になっただろう、という男の子が出てくる。そして、その後の長い人生で大きく意味を持つことになった瞬間というか、人生において大事なことを知った瞬間というかを鮮やかに切り取っていて、語り口とともに、もうなんというか、春樹ファンには堪らない。
特に、男の子が、同居の仲良しのおばあさん(ホントは従姉妹)から、「残酷さ」(ずるさ、卑怯)ということはどういうことなのかを教えられることになる「感謝祭の客」。郷愁に伴う甘さ・切なさと共に苦み、重みがあって、胸に染み入る(ちょっと、春樹の短編「沈黙」の要素もある)。
「無頭の鷹」は、自分の理解の範疇を超えた難解な作品であるが、痛くて、錯乱していて、儚くて、煌びやかで、カポーティ天才!ということだけはよくわかる。