
この本について
「私が泣くのは大人になりすぎたからだよ」。かつて悪意の存在を知らず、傷つけ傷つくことから遠く隔たっていた世界へカポーティは幾度となく立ち返ろうとした。たとえその扉はすでに閉ざされていようとも。イノセント・ストーリーズ―そんな彼のこぼした宝石のような逸品六篇を、村上春樹が選り、心をこめて訳出しました。
レビュー

zooko012
2016年3月読了
村上春樹翻訳のカポーティ短編集。「無頭の鷹」と作者を彷彿とさせる少年もの4編。
村上春樹は、小説やエッセイで青春期のことは書くが、幼年・少年期のことは書かない。カポーティのこの幼年・少年ものには、村上春樹がもし幼年・少年を書いていたらこんな男の子になっただろう、という男の子が出てくる。そして、その後の長い人生で大きく意味を持つことになった瞬間というか、人生において大事なことを知った瞬間というかを鮮やかに切り取っていて、語り口とともに、もうなんというか、春樹ファンには堪らない。
特に、男の子が、同居の仲良しのおばあさん(ホントは従姉妹)から、「残酷さ」(ずるさ、卑怯)ということはどういうことなのかを教えられることになる「感謝祭の客」。郷愁に伴う甘さ・切なさと共に苦み、重みがあって、胸に染み入る(ちょっと、春樹の短編「沈黙」の要素もある)。
「無頭の鷹」は、自分の理解の範疇を超えた難解な作品であるが、痛くて、錯乱していて、儚くて、煌びやかで、カポーティ天才!ということだけはよくわかる。
村上春樹は、小説やエッセイで青春期のことは書くが、幼年・少年期のことは書かない。カポーティのこの幼年・少年ものには、村上春樹がもし幼年・少年を書いていたらこんな男の子になっただろう、という男の子が出てくる。そして、その後の長い人生で大きく意味を持つことになった瞬間というか、人生において大事なことを知った瞬間というかを鮮やかに切り取っていて、語り口とともに、もうなんというか、春樹ファンには堪らない。
特に、男の子が、同居の仲良しのおばあさん(ホントは従姉妹)から、「残酷さ」(ずるさ、卑怯)ということはどういうことなのかを教えられることになる「感謝祭の客」。郷愁に伴う甘さ・切なさと共に苦み、重みがあって、胸に染み入る(ちょっと、春樹の短編「沈黙」の要素もある)。
「無頭の鷹」は、自分の理解の範疇を超えた難解な作品であるが、痛くて、錯乱していて、儚くて、煌びやかで、カポーティ天才!ということだけはよくわかる。
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