
読書履歴
2013/03/15
287ページ
2013/03/15
115ページ
シェイクスピアが「われわれは夢と同じものでできている (We are such staff as dreams are made on)」と言うとき、夢と覚醒状態とは瞭然と区別されていて、日常では意識が外部へ向かっているが、夢では内部に向かっていることを知っている。しかし、夢も覚醒時も同じ思考がはたらいて (眠りのなかでも思考ははたらきつづけていて)、その連鎖の仕方が違うということであり、夢では、われわれの実存のかたちが明瞭に現れるということなのである。また、夢のなかでの想念の継続は観念連合によってもたらされ、覚醒時には気づかれない無意識作用によって生じるので、支離滅裂で荒唐無稽に思われるのだが、これは、夢が白昼の思考とは異なった思考回路で生み出されているためであり、この夢の観念連合に意志的に介入することは不可能なことではないのである。「夢と眠りの構造学」p.115
2013/03/15
98ページ
夢を生み出すシステムをとらえ、そのシステムが解明できれば、夢のなかでの「なにか考えているからこそそこに事物がある」という《発生学的な》謎―言ってみれば「虚無からの創造 (creatio ex nihilo)」の謎―を解く鍵になるのではないかというのである。これは、古代ギリシャのヘラクレイトスやデモクリトスからプロティノスを経て、現代のボルヘスまで連綿と流れる形而上学的思考を無限の時間のなかに置くことによって、その実現の可能性を示そうとするものである。ボルヘスの主題は時間論であり、埴谷の主題は存在論ではあるが、夢について、ボルヘスがグルーサックの言葉を引き合いにして、「あの影の領域、夢の迷宮を通り抜けた後、目覚めた私たちが正気なのは―つまり相対的に正気であるという意味ですが―驚くべきことである」(『七つの夜』野谷文昭訳) と言うとき、埴谷の夢へのアプローチとそう隔たっているものでもないと思われる。「夢と眠り構造学」p.98
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