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占星術殺人事件 (講談社文庫)

占星術殺人事件 (講談社文庫)

島田 荘司

この本の所有者

27人が登録
88回参照
2013年2月27日に更新

書籍情報

ページ数:
470ページ
参照数:
88回
更新日:
2013/02/27

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📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
5/5
レビュー:
2013年度1冊目。(〜2014.2.27)

一見不可能な密室殺人と死体を組み合わせて作るアゾート作製。これこそがミステリーか、という感想である。

この本の名は以前から知っており、その内容を読まずに人生を終えるのは勿体ないと評価される程の一冊と言われている。そこで手に取ってみたのだが、なるほどこれこそがミステリーかと思わせられた。
この一連の事件は四十年間以上解かれていない、なぜなら犯人がいない、死人が生き返らないとできない、動機がある人間ばかり、しかしアリバイがある、外部犯ではない、しかし内部の人間はみな死んでいる。といった完全不可能殺人としての条件を余すところなく提示することから本書は始まる。どう考えても不可能としつこいほどにその条件が次々と提示されていく。
私は本やドラマを読んだり見たりする際に、物語に参加してその謎を解こうとするのではなく、ただその流れを俯瞰的に見ることで楽しむ人間なのである。(もしかしたら非常に勿体ない楽しみ方なのかも知れないが)したがって著者が記した<読者への挑戦>に心を掻き立てられることはなかったが、この完全犯罪の結末を強く知りたいと思ったことは言うまでもない。挑戦に心を燃やした者、また私と同様に挑戦されているという意識すらないままの者。そのどちらにおいてもこの結末が気にならない人間はいないだろう。

しかし本書が高く評価され、長年に渡って愛されてる所以はその謎のスケールの大きさ、難解さだけではないだろう。実に登場人物が魅力的なのだ。そう、まさしく御手洗潔と石岡氏である。ただ現実的に友人になりたいかは置いておくが。(突然発狂されるのは非常に困る)

即ち、本書は「楽しめる」一冊だった。是非、機会があれば御手洗と石岡が出会い、石岡が御手洗を尊敬、慕うようになった出来事を知りたいものである。

ネタバレ
アゾート作製には6つの死体が必要。アゾート計画を立てたのは梅沢平吉だと思わせる手記が、平吉の部屋から発見。実際、6つの死体が見つかる。それらは平吉が共に過ごす6人の娘だと確認。頭、胸、腹、腰、大腿、下足。これら6つの部分を切断し、アゾートを作製する。
しかし、実際は6つではなく5つの死体だった。一万円札の偽札事件のように端が短くなる札が2枚あっていいのであれば例えば20枚の札から21枚の札が作れる。そういう原理で犯人の時子は自らを死体に見せかけ、捜査を撹乱させた。その動機は母への愛情と、私怨。
22歳の娘の考え抜かれた大計画だった。

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