
愚行録 (創元推理文庫)
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著者自身が「最悪に不快な読後感を残す話」というだけあって、誰しもが持っているであろう「嫌な部分」にフォーカスしながらもストーレートな表現は一切せず、グロテスクな表現も無しに、語り手から湧き出る悪意によってじわりじわりと夫婦の負の貌が浮かび上がってくる仕組みとなっている。表面的には平穏な人間関係も一皮剥けばそれぞれの身勝手さや思い込みが混じって醜さが自然と滲み出てくる様を“語り”という形式で見事に描写し、最後には「完璧で幸せな一家」といった当初のイメージを完全に粉砕してしまう。
更に被害者夫婦に対する描写だけには飽き足らず、追い打ちをかけるような「妹」の独白。ここでも彼女に関わった人々と彼女自身の愚かさとが浮かび上がるように描かれていて、正にタイトル通りの『愚行録』を成しえている。
…確かに後味の悪い作品だ。。。
とは言え、本人の意図を見事に表現していくこの文章力はスゴイかと。。最後にオチはあるものの、驚くような仕掛けも盛り上がるような謎解きもないのだが、思わず引き込まれてしまった。
ちなみに、最初の1ページ目の意味が最後が分かるあたりは貫井さんらしい表現だ。。。

80
