この本について
想いびとである小松原と添う道か、料理人として生きる道か...澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。「つる家」で料理を旨そうに頬張るお客や、料理をつくり、供する自身の姿を思い浮かべる澪。天空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には、決して譲れない辿り着きたい道が、はっきりと見えていた。そして澪は、自身の揺るがない決意を小松原に伝えることに―(第一話「冬の雲雀」)。その他、表題作「夏天の虹」を含む全四篇。大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、“悲涙”の第七弾。
みんなの評価
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2
1
レビュー
zooko012
2012年3月読了
前作「心星ひとつ」で、想い人小松原と歩む道ではなく、料理人の道を選択した澪。そんな澪のためにとった小松原の男気のある決断とは・・・。本作では、人を傷つけ自分も傷つく恋をした澪が、これを受け止め、自分の力でゆっくり回復していく様が描かれる。同志との永久の別れ、幼きものの成長・・・。どの巻にもまして、人への思い、人との繋がりの尊さが温かい筆致で描かれ、何度も涙腺が弛んでしまう。いつの間にか全ての登場人物が自分の中に住み込んでしまった、自分にとって大事な連載ものの1つである。