メニュー
巡礼

巡礼

橋本 治

5
1人が登録
1件のレビュー

この本について

いまはひとりゴミ屋敷に暮らし、周囲の住人たちの非難の目にさらされる老いた男。戦時下に少年時代をすごし、敗戦後、豊かさに向けてひた走る日本を、ただ生真面目に生きてきた男は、いつ、なぜ、家族も道も、失ったのか―。その孤独な魂を鎮魂の光のなかに描きだす圧倒的長篇。

みんなの評価

5
5
1件
4
0件
3
0件
2
0件
1
0件

レビュー

ぼんぼん
ぼんぼん
2010年10月読了
ゴミ屋敷に住む老人がたどってきた人生を描いた小説。
彼はなぜゴミに埋もれて暮らしているのか。
彼は何のためにゴミを拾い続けるのか。
戦後の高度成長期で急激に変わっていく町の中で、変わることができなかった悲しみと、変わらずにそこにあったもの。
華やかな時代の片隅にうもれて忘れられた悲しみの人生。
 
橋本治は初めて読んだのですが、さすがだなと思いました。
文章が文章でなく、映像としてすんなり頭の中に入ってくるんですよね。
最終章は泣きながら読みました。
 
ゴミ屋敷に住み、ゴミを拾い続け、近所の住人から鼻つまみ者にされても
「これはゴミじゃねぇ」と言い張る忠市。
忠市は、そこに打ち捨てられたゴミを自分と重ねていたんだな。
一生無くならないもの
自分の手元から消えていかないものを求めていたんだな。
自分の目に映るすべてに意味を見出して、だから自分の人生も無意味ではなかったと思いたかった。
 
「生きる」ってどういうことなのかと考えていました。
だれにも必要とされないもの、無意味だと決めつけられたものは、
たとえそれがその人の生きた証であったとしても、ゴミでしかないのか。
どんなものにも物語はあるのに。
 
忠市はだれかに必要とされたかったんだな…
それが行間からびしびしと伝わってきて、こたえました。
人を必要とし、必要とされる。
当たり前にみんなそうして生きているのに、
ただそれだけなのに、
どうしてうまくいかないんだろう。
 
生きるとはとてもむずかしい。

この本を読んでいる人(1人)

読書ステータス

読了 1人

グローバル検索

ReadNest全体から本やレビューを検索します