この本について
湯治旅を終えた若夫婦が、帰途、雨で足止めとなり老女との相部屋を引き受けた。老女が語り出す50年前の忌まわしい出来事とは。「〈ばんば〉とは恨みの念を抱いた亡者のこと・・・」。ぞくりと怖く、心騒がす全6話。
みんなの評価
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1
レビュー

宮部みゆきの、怪談もの。6本の話があり、それぞれ個性がある。最後の野槌の墓は、木槌が物の怪になって人を襲う話だが、その背景が子供への虐待と言う現代的テーマで、子を持つ親としては、ぐっと来るものがある。標題の「ばんば憑き」は、入り婿の若主人が妻との湯治帰りに戸塚宿で過ごした一夜の物語だ。相部屋になった老婦人の昔語りが意外な方向に向かって行く。てっきりこの場で妻をばんば憑きにしてしまうのかと思ったのだが、そんな単純ではなかった。坊主の壺は、古い掛軸に異様な物を見る者に病を治す知恵が授かると言う趣向だが、それだけではなく、その知恵にはまた異様な副作用がある。どうしたら、この様な発想が浮かぶのだろうか。
読書ステータス
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