📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)
読書履歴
AIが見つけた似た本
「路地の子」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました
青年のための読書クラブ
桜庭 一樹
東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者(アウトロー)だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の“クラブ誌”があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が...
私の男
桜庭 一樹
優雅だが、どこかうらぶれた男、一見、おとなしそうな若い女、アパートの押入れから漂う、罪の異臭。家族の愛とはなにか、超えてはならない、人と獣の境はどこにあるのか?この世の裂け目に堕ちた父娘の過去に遡る―...
赤朽葉家の伝説
桜庭 一樹
“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万...
東京てくてくすたこら散歩
伊藤 まさこ
「今日はギャラリーフェブ(そら豆)に行こうかな」晴れた日にぽっかりと予定があいたなら、ギャラリーをのぞいてカフェでお茶を飲もう。街のパン屋さんから森の美術館まで、私の好きなお散歩コース。
東京生まれなので、被差別部落のことが日常問題となることはほとんどない。しかし、高校のときに「橋のない川」を読んでから、気になっており、中上健次の「紀州」(傑作)をはじめ、折りに触れ意識的に読むようにしている。そして本書。被差別部落である更池に生まれた著者が、食肉の卸会社を立ち上げ戦後を生き抜いた父を軸として取り上げたノンフィクションである。部落解放同盟、右翼、共産党、ヤクザ、同和利権など、余りよく知らなかった戦後史の一端が迫力をもって描写されており、偽装事件で問題となったハンナンなども登場し興味深い。とはいえ、前半の生き生きとした部分が後半には完全にトーンダウン。時代的に近すぎる上に、著者の父も存命で継続的に事業を営んでいることもあり、客観化も十分ではなく、書けないこともあるのだろう。後書きを読んで、著者が相当の覚悟をもって本書に取り組んだこと、今の時期に書かざるを得なかったこともわかるのだが、時期尚早の感を否めない。全くの個人的意見としては、著者の個人的な思いと客観のバランスをとるのが難しい「日本の路地を旅する」などの一連の同和ものより、むしろ、「石の虚塔」における著者のノンフィクションライターとしての力量を買いたい。