メニュー
忘れられた巨人

忘れられた巨人

この本の所有者

(2.0)
8人が登録
101,036回参照
2015年5月24日に更新

書籍情報

ページ数:
416ページ
参照数:
101,036回
登録日:
2015/05/24
更新日:
2015/05/24
所有者:
zooko012 zooko012さん

この本を共有する

📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)

レビュー:
「私を離さないで」は自分がここ10年読んだ小説の中で断トツ一番!と思うくらい本当に偏愛している。というわけで、久しぶりのカズオイシグロのこの最新長編、発売日を指折り数えて楽しみにしていたわけだが。。。

舞台設定はアーサー王の時代。自分たちの記憶が失われているのではないかと疑った老夫婦が旅に出る。戦士、鬼、竜、妖精など、ファンタジー(幻想)小説の枠組みを借りつつ、人・歴史にとっての記憶、忘却の意味、愛を真正面から語っている。最後の数十ページは流石に面白いし、印象的なシーンはいくつもある。題材や語り口は悪くはないし、全体の薄ぼんやりとしたベージュグレーのような世界観は捨てがたい。

とはいえ、「私を離さないで」のような全編、主題と世界観が一体となって、読み手の心を圧倒的に揺さぶるような何か、は残念ながら感じられなかった。いつも興味のある本は発売日に読み切る自分がここまで時間がかかってしまったのが何よりの証左だ。逆説的ではあるが、「私を離さないで」が本当に奇跡のような小説であったことを思い知らされた。

読書履歴

2015/05/24 416ページ

ログインが必要です

この本をレビューしたり、読書進捗を記録するにはログインが必要です。

ログイン

AIが見つけた似た本

「忘れられた巨人」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました

73.8%
徒然草 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

徒然草 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

日本の中世を代表する知の巨人、兼好が見つめる自然や世相。その底に潜む、無常観やたゆみない求道精神に貫かれた随想のエキスを、こなれた現代語訳と原文で楽しむ本。現代語訳・原文ともに総ルビ付きで朗読にも最適...

8人 5
73.8%
人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1)

人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1)

田中 ロミオ

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人...

18人 3.5
73.1%
遠まわりする雛
73%
アガメムノーン (岩波文庫)

アガメムノーン (岩波文庫)

アイスキュロス

戦争は何故起り、何をもたらすのか。ギリシアの総大将アガメムノーンは、ついにトロイアーの都イーリオンを攻略し、帰還した。しかしその朝、彼を待ち受けていたのは、留守の間に不義を重ねていた王妃クリュタイメー...

1人 4
72.9%
アンネ・フランクの記憶 (角川文庫)

アンネ・フランクの記憶 (角川文庫)

小川 洋子

十代のはじめ『アンネの日記』によって言葉が自分を表現することに心ゆさぶられ、作家への道を志した小川洋子が、長年の感慨をこめてアンネの足跡をたどる旅に出た。命がけで物資を運びフランク家の隠れ家生活を気丈...

4人 4
72.7%
ラスト・ビジョン
72.1%
石の猿

石の猿

ジェフリー・ディーヴァー

不法移民は“すでに世に亡き者たち”。蛇頭に金を払わなければ、殺される。文句を言えば、殺される。この世から消えたきり、二度と見つからない。「リンカーン・ライム」シリーズ最新刊。

4人 4.5
72%
新訂 徒然草 (岩波文庫)

新訂 徒然草 (岩波文庫)

西尾 実

『徒然草』の面白さはモンテーニュの『エセー』に似ている。そしてその味わいは簡潔で的確だ。一見無造作に書かれているが、いずれも人生の達人による達意の文章と呼ぶに足る。時の流れに耐えて連綿と読みつがれてき...

9人 4
zooko012
zooko012 Lv.229

「私を離さないで」は自分がここ10年読んだ小説の中で断トツ一番!と思うくらい本当に偏愛している。というわけで、久しぶりのカズオイシグロのこの最新長編、発売日を指折り数えて楽しみにしていたわけだが。。。

舞台設定はアーサー王の時代。自分たちの記憶が失われているのではないかと疑った老夫婦が旅に出る。戦士、鬼、竜、妖精など、ファンタジー(幻想)小説の枠組みを借りつつ、人・歴史にとっての記憶、忘却の意味、愛を真正面から語っている。最後の数十ページは流石に面白いし、印象的なシーンはいくつもある。題材や語り口は悪くはないし、全体の薄ぼんやりとしたベージュグレーのような世界観は捨てがたい。

とはいえ、「私を離さないで」のような全編、主題と世界観が一体となって、読み手の心を圧倒的に揺さぶるような何か、は残念ながら感じられなかった。いつも興味のある本は発売日に読み切る自分がここまで時間がかかってしまったのが何よりの証左だ。逆説的ではあるが、「私を離さないで」が本当に奇跡のような小説であったことを思い知らされた。

TIM
TIM Lv.191

schazzie
schazzie Lv.108

イシグロの10年ぶりの新作はファンタジーということで期待。アーサー王、円卓の騎士ガウェイン、魔術師マーリン、竜とくれば、嫌でもわくわく。息子が住むという、あるいは老夫婦が渡ろうとする島はアヴァロンか?しかしそれらは外側だけであり、ファンタジーというのも形だけ。人間は怒りや悲しみや恨みを忘れたほうが世の中が平和になる。特に夫婦は忘却と許しが必要。そういう事が書かれていたのだろうか?どういう結末なのか、最後の部分の意味が分からない。本質的にはラブストーリーであるとされながら、私には最後の部分でどうしてもラブストーリーには思えない。また翻訳の土屋さんは好きだが、これに関しては今いち。老夫婦の会話がしっくり来ない。ファンタジー関連の事柄は知識や慣れも必要だから、得意分野ではなかったかも?高い評価を得ている本作だが、ファンタジーとして期待した私には退屈だった。

グローバル検索

ReadNest全体から本やレビューを検索します