メニュー
折口信夫の晩年 (中公文庫 M 51)

折口信夫の晩年 (中公文庫 M 51)

この本の所有者

1人が登録
11,199回参照
2015年3月10日に更新

書籍情報

ページ数:
318ページ
参照数:
11,199回
登録日:
2015/03/10
更新日:
2015/03/10
所有者:
zooko012 zooko012さん

この本を共有する

📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)

レビュー:
夢中になって読んだ。著者は、折口信夫の晩年に仕えた弟子であり、当時学生であったが、現在は、日本を代表する歌人となっている。「先生の怒りの激しさは、目の当たり見た者でなければわからない。」「そうした強烈な人間の業と業との闘争を敢えて繰り返して、しかもなお心の結びつきの失われないためには、夫と妻、生みの親と子というような、どろどろの人間の業の底のところで結ばれた、生涯断ち切ることの出来ない絆が必要であった。師と弟子との愛はどれだけこまやかであっても、それだけでは、業の底にまで至ることはなかった。」怪物折口の晩年の日常を伝える評伝として。圧倒的で理不尽な師に若者らしい反抗心を抱きつつも、真正面から対峙しえない悲しみを綴った弟子の青春録として。茂吉や柳田ら文士との興味深い交遊録として。非常に深い余韻の残る評伝である。これは、結局のところ、弟子である著者自身が豊かな才能の持ち主だからこそ生まれた評伝でもあると思う。

読書履歴

2015/03/10 318ページ

ログインが必要です

この本をレビューしたり、読書進捗を記録するにはログインが必要です。

ログイン

AIが見つけた似た本

「折口信夫の晩年 (中公文庫 M 51)」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました

75.4%
奪取〈上〉 (講談社文庫)

奪取〈上〉 (講談社文庫)

真保 裕一

一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫っ...

25人 3
74%
金閣寺

金閣寺

三島 由紀夫

1950年7月1日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み―ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、...

88人 4
73.8%
蛇を踏む (文春文庫)

蛇を踏む (文春文庫)

川上 弘美

女は藪で蛇を踏んだ。蛇は女になり食事を作って待つ。母性の眠りに魅かれつつも抵抗する、女性の自立と孤独。芥川賞受賞作他二篇

14人 3.7
73.7%
ドキュメント 屠場 (岩波新書)

ドキュメント 屠場 (岩波新書)

鎌田 慧

屠場―。そこは鍛え上げられた職人芸が、商品としての食肉の味と価値を左右する世界だ。日本人の肉食の歴史とともに歩んできた労働現場の実像と、いわれなき職業差別と身分差別にさらされながら、合理化の波に抗して...

3人 4
73.5%
失敗学のすすめ (講談社文庫)

失敗学のすすめ (講談社文庫)

畑村 洋太郎

恥や減点の対象ではなく、肯定的に利用することが、失敗を生かすコツ。個人の成長も組織の発展も、失敗とのつきあい方で大きく違う。さらに新たな創造のヒントになり、大きな事故を未然に防ぐ方法も示される―。「失...

18人 4
zooko012
zooko012 Lv.229

夢中になって読んだ。著者は、折口信夫の晩年に仕えた弟子であり、当時学生であったが、現在は、日本を代表する歌人となっている。「先生の怒りの激しさは、目の当たり見た者でなければわからない。」「そうした強烈な人間の業と業との闘争を敢えて繰り返して、しかもなお心の結びつきの失われないためには、夫と妻、生みの親と子というような、どろどろの人間の業の底のところで結ばれた、生涯断ち切ることの出来ない絆が必要であった。師と弟子との愛はどれだけこまやかであっても、それだけでは、業の底にまで至ることはなかった。」怪物折口の晩年の日常を伝える評伝として。圧倒的で理不尽な師に若者らしい反抗心を抱きつつも、真正面から対峙しえない悲しみを綴った弟子の青春録として。茂吉や柳田ら文士との興味深い交遊録として。非常に深い余韻の残る評伝である。これは、結局のところ、弟子である著者自身が豊かな才能の持ち主だからこそ生まれた評伝でもあると思う。

グローバル検索

ReadNest全体から本やレビューを検索します