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小説・捨てていく話

小説・捨てていく話

松谷 みよ子

この本の所有者

2人が登録
5,223回参照
2015年3月30日に更新

書籍情報

ページ数:
190ページ
参照数:
5,223回
登録日:
2015/03/30
更新日:
2015/03/30
所有者:
zooko012 zooko012さん

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📝 レビュー (zooko012さんのレビュー)

レビュー:
「モモちゃんシリーズ」や「龍の子太郎」などで日本を代表する童話作家として著名な松谷みよ子の自伝である。牧歌的な語り口であるが、書かれていることは凄絶である。
劇団の主宰者である夫は、自分をあがめ奉る女性達や愛人を見せびらかす。そのくせ、松谷が離婚を申し入れると、夫は、「君のまなざしを常に受けていたい」と言って泣き出し、離婚後も、海外遠征への同行、劇団への資金援助などを臆面もなく要請する。結局、松谷は、夫の葬儀・埋葬も取り仕切り、遺稿集等も出版することになるが、夫の関わる事柄があると、ヘドロが沸き立つ思いがする・・・。
それにしても、本書を読むと、松谷が、幼稚園から小学校低学年が読む「モモちゃんシリーズ」で、夫に対するどす黒い気持ち、離婚の際の心情を、童話の形に昇華して驚くほど率直に表現していたことに驚嘆する。それが、日本を代表する童話作家である松谷の才能というものなのだろう。
松谷の強さ、人の関係の抜き差しならなさに圧倒される一冊である。

【追悼】
先月末に松谷みよ子が89歳で亡くなったとのことである。松谷は、佐藤さとると並び、自分の幼少期を育ててくれた二大童話・児童文学作家の一人である。いないいないばぁシリーズ、モモちゃんシリーズ、龍の子太郎などの一連の民話もの。。。母に何度も読むようにせがみ、自分で読めるようになってからも、執着するように何十回、何百回と読んだ。数年前、この自伝的な本を読み、松谷の才能・強さに圧倒される思いがした。凄絶な一生に、そして、幼少期の自分を育ててくれた松谷に、最大限の賛辞を贈りたい。ご冥福をお祈りします。

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