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📝 レビュー (あおみさんのレビュー)
評価:
3/5
レビュー:
本作で、東野圭吾氏の作品は19作読んだことになる。
黒川氏によるあとがきにも書いてあったが、本当に多才で多彩な小説家だと思う。
これほどまでに様々なジャンルの作品を描き、そのほとんどが駄作でないという事は、本当に凄いし、素晴らしいことだと思う。
本作をもってさらに、日本屈指の小説家だという認識が強まった。
しかし、駄作かどうかという負の観点からではなく、傑作かどうかという正の観点からみれば、果たして彼の描いた作品のいくつが傑作の基準を越えられただろうか。
私の中では「白夜行」「容疑者xの献身」「聖女の救済」「真夏の方程式」「変身」が傑作に位置している。
19作中の5つである。
そして、本作『むかし僕が死んだ家』も傑作にはならなかった。
一人の素人が、自ら日本屈指の小説家と評した人物に対して何を偉そうなことを言っているのだ、と我ながら腹を立ててこれを書いているのだが、とにかくここに一読者の思うことを記そうと思う。
本作に限らず、なぜ彼の作品が傑作にならないのか。しかし、日本で一番売れている作家に成り得たのか。これらを考察する。
まず、傑作にならない理由であるが、それは奇しくもジャンルの広さにあると思う。
東野圭吾は恋愛、ミステリー、ブラックユーモア、エッセイ、人情、あらゆるジャンルの物語を作ってきた。
これは本当に心の底から評価しなければいけないことであるが、このジャンルの広さがもしかしたら人の心に突き刺さる傑作を中々生み出せない要因なのかもしれない。
極めて端的に言うと、広いが故に浅いのだ。
新しいジャンルの物語を思い付いたから構成を練って、執筆した。それだけのような感があるのだ。
ただ、これだけであれほど読者に読ませる物語を描くのは、天賦の才能としか表現できないことは事実ではあるのだが。
だからガリレオシリーズ7つのうち3つが傑作に入っているのかもしれない。
書いていくうちに、あらゆる箇所が練られてなにか一つのテーマを掲げた物語ではなく、心にぐっとくる作品に仕上がっているのだろう。
では、なぜあれほどまでに幅広い作品を生み出しながらも、名作が少ないのか。
これこそが第二の考察点である。
それは正しく、文体にあると考える。
東野圭吾の書き方の特徴は短い文を過去形で収束させることにあると思う。
だからこそ、読みやすく、読者はイメージし易い。しかし、私が理系だからこう思うのかもしれないが、どこか小説というよりは研究書、もしくはレポートを読んでいるかのような気分になることがある。
「私は彼女を見ていた。彼女はやや充血した目を向けて、口を動かそうとした。しかし、何も言葉にはしなかった。何かが彼女の心を抑えたのかもしれない。私はその一連の動きを見て、どうすべきか迷った。窓の外は雨が相変わらず吹いている。隙間風の音が一層強くなった気がした。」
例として書いてみたが、こんな感じである。
確かにイメージし易い。しかし、目新しい表現もなければ、人物にあまり動きが感じられない。
物語の構成段階を読んでいるのではないかと考えてしまう程だ。
以上のことから、東野圭吾の作品には心に突き刺さる名作が少ないのではないかと考える。
本作では特に、後者の感が際立っていた。
ほとんどの文が短く、情景と感情を伝えるだけの文章だったのが、非常に残念である。
しかし、登場人物が2人しかいないこと、舞台がほとんど屋敷に限定されていること、それら二点の限定条件を踏まえつつも、完全なミスディレクションを組み立てたのは流石である。
読み返せばより、その伏線の張り方に驚嘆する。
先にて、東野圭吾の小説に対する失礼な意見を訥々と述べたが、恐らく私はまたいつか彼の作品を手に取っていることだろう。
なぜなら、やはり面白いからに違いない。
黒川氏によるあとがきにも書いてあったが、本当に多才で多彩な小説家だと思う。
これほどまでに様々なジャンルの作品を描き、そのほとんどが駄作でないという事は、本当に凄いし、素晴らしいことだと思う。
本作をもってさらに、日本屈指の小説家だという認識が強まった。
しかし、駄作かどうかという負の観点からではなく、傑作かどうかという正の観点からみれば、果たして彼の描いた作品のいくつが傑作の基準を越えられただろうか。
私の中では「白夜行」「容疑者xの献身」「聖女の救済」「真夏の方程式」「変身」が傑作に位置している。
19作中の5つである。
そして、本作『むかし僕が死んだ家』も傑作にはならなかった。
一人の素人が、自ら日本屈指の小説家と評した人物に対して何を偉そうなことを言っているのだ、と我ながら腹を立ててこれを書いているのだが、とにかくここに一読者の思うことを記そうと思う。
本作に限らず、なぜ彼の作品が傑作にならないのか。しかし、日本で一番売れている作家に成り得たのか。これらを考察する。
まず、傑作にならない理由であるが、それは奇しくもジャンルの広さにあると思う。
東野圭吾は恋愛、ミステリー、ブラックユーモア、エッセイ、人情、あらゆるジャンルの物語を作ってきた。
これは本当に心の底から評価しなければいけないことであるが、このジャンルの広さがもしかしたら人の心に突き刺さる傑作を中々生み出せない要因なのかもしれない。
極めて端的に言うと、広いが故に浅いのだ。
新しいジャンルの物語を思い付いたから構成を練って、執筆した。それだけのような感があるのだ。
ただ、これだけであれほど読者に読ませる物語を描くのは、天賦の才能としか表現できないことは事実ではあるのだが。
だからガリレオシリーズ7つのうち3つが傑作に入っているのかもしれない。
書いていくうちに、あらゆる箇所が練られてなにか一つのテーマを掲げた物語ではなく、心にぐっとくる作品に仕上がっているのだろう。
では、なぜあれほどまでに幅広い作品を生み出しながらも、名作が少ないのか。
これこそが第二の考察点である。
それは正しく、文体にあると考える。
東野圭吾の書き方の特徴は短い文を過去形で収束させることにあると思う。
だからこそ、読みやすく、読者はイメージし易い。しかし、私が理系だからこう思うのかもしれないが、どこか小説というよりは研究書、もしくはレポートを読んでいるかのような気分になることがある。
「私は彼女を見ていた。彼女はやや充血した目を向けて、口を動かそうとした。しかし、何も言葉にはしなかった。何かが彼女の心を抑えたのかもしれない。私はその一連の動きを見て、どうすべきか迷った。窓の外は雨が相変わらず吹いている。隙間風の音が一層強くなった気がした。」
例として書いてみたが、こんな感じである。
確かにイメージし易い。しかし、目新しい表現もなければ、人物にあまり動きが感じられない。
物語の構成段階を読んでいるのではないかと考えてしまう程だ。
以上のことから、東野圭吾の作品には心に突き刺さる名作が少ないのではないかと考える。
本作では特に、後者の感が際立っていた。
ほとんどの文が短く、情景と感情を伝えるだけの文章だったのが、非常に残念である。
しかし、登場人物が2人しかいないこと、舞台がほとんど屋敷に限定されていること、それら二点の限定条件を踏まえつつも、完全なミスディレクションを組み立てたのは流石である。
読み返せばより、その伏線の張り方に驚嘆する。
先にて、東野圭吾の小説に対する失礼な意見を訥々と述べたが、恐らく私はまたいつか彼の作品を手に取っていることだろう。
なぜなら、やはり面白いからに違いない。
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